宇宙太陽発電(うちゅうたいようはつでん)
巨大な太陽電池パネルを広げた人工衛星を使い、太陽光を電気エネルギーに変換する。その電力は電磁波として地上に送信され、私たちの生活で利用可能な電気となる。
米航空宇宙局 (NASA) は、2040年の実用化に向けて、1998年から約23億円をかけて宇宙太陽発電の研究に本格的に着手した。日本でも、経済産業省を中心に、40年後の実用化を目指している。
宇宙太陽発電は、天気や時間帯に関係なく常に一定の電力供給が確保できる。発電設備を宇宙に打ち上げることから、発電所の立地問題を避けられるだけでなく、クリーンエネルギーとして地球環境の保護という観点からも期待がかかっている。
宇宙空間で発電された電気エネルギーは、マイクロ波と呼ばれる電磁波の一種に変換され、地上の受信装置に集められる。周囲の人間や生態系に影響を与えないよう、マイクロ波の強度を調整するなどの研究も課題の一つだ。
残る問題は、ロケットの打ち上げコストで、国産の H2A ロケットの費用を大幅に削減する必要がある。この点は、日本が太陽電池パネルを担当し、アメリカがロケットの打ち上げを担当するという国際分業で計画を進めることになるかもしれない。
(2001.08.08更新)
宇宙太陽光発電
別名:宇宙太陽発電
【英】Space Solar Power Systems, SSPS
宇宙太陽光発電とは、宇宙空間で静止衛星による太陽光発電を行い、そのエネルギーを地球に無線伝送することでエネルギー供給を行うという発電方法のことである。
宇宙太陽光発電のアイデアは、1968年にピーター・グレイザー博士によって始めて提唱された。当事は技術の未成熟や経済的理由などによって開発計画は凍結された。1990年代後半から再び議論に上るようになり、2000年代半ばより具体的な検討が進められ始めている。
宇宙太陽光発電は、昼夜天候を問わずに発電が可能であるだけでなく、地上における太陽光発電に比べて発電効率も5~10倍ほど高いとされる。また、クリーンエネルギーであること、資源の枯渇を懸念する必要がないというメリットもある。
宇宙太陽光発電で衛星からエネルギーを地上に伝送する方式としては、マイクロ波を利用するマイクロ波SSPS(M-SSPS)方式と、レーザー光を利用するレーザーSSPS(L-SSPS)方式が検討されている。前者は太陽光発電による電力をマイクロ波に変換して地上に伝送し、そこから再び電力を取り出そうとするものである。後者は、太陽エネルギーをレーザー光線に変換して伝送し、そのレーザー光のエネルギーによって海水から水素を取り出すなどのエネルギー生成を行おうというものである。
2009年の時点では、衛星から地上への電磁波の伝送効率や、送信経路を制御する技術、あるいは宇宙空間で発電を行うための資材を運び出す輸送コストの採算など多数の課題がある。
日本では宇宙航空研究開発機構(JAXA)、および経済産業省が宇宙太陽光発電に関する研究開発の取り組みを開始している。
参照リンク
宇宙エネルギー利用の研究 - (宇宙航空研究開発機構)
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