学問としての会計史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/03 13:48 UTC 版)
初期の会計史の研究としてリチャード・ダフォーン(オランダ語版)の『商人の鏡』(1635年)があるが、1ページのみだった。単行本としては、ベンジャミン・F・フォスターの『The Origin And Progress Of Book-keeping』(1852年)からとなる。日本では明治期の洋式簿記の導入と同時期に歴史研究が始まり、当初は海外研究の抄訳が多かった。初期のものとして曽田愛三郎『学課起源略説』(1878年)や海野力太郎『簿記学起源孝』(1886年)がある。 学会は、1972年にイギリス会計史学会、1973年にアメリカ会計史学会(英語版)、1982年に日本会計史学会が設立された。学術誌としては、アメリカ会計史学会の機関紙「The Accounting Historians Journal(英語版)」(AHJ)が年2回、国際的ジャーナルの「Accounting History(英語版)」(AH)が年4回発行されている。傾向としては、AHJが伝統的な組織を扱い、AHは限定されずにさまざまな組織を扱う。日本では「会計史学会年報」が発行されている他、会計専門学術誌である『會計』にも研究論文が掲載されている。研究者の傾向として、日本では会計プロフェッションを兼務せずに研究者となる割合が多く、海外では公認会計士の研究者が多い。 複式簿記の起源 複式簿記の起源については複数の説があり、特に古代ローマ起源説と中世イタリア起源説に大きく分かれる。ローマ説の根拠としては、会計役の奴隷と主人がおこなっていた代理人簿記を起源とする。中世イタリア起源説は、さらにトスカーナ説、ジェノヴァ説、ロンバルディア説、ヴェネツィア説、各都市国家で同時期に作られた説などに分かれる。 近代以降のヨーロッパの繁栄や産業革命の一因に、複式簿記を含める説がある。しかし、正確な簿記はヨーロッパ以外にも存在しており、複式簿記が誕生したのちもインドや中国をはじめとする地域はヨーロッパよりも繁栄していた。そのためアフリカやアメリカ大陸への進出による鉱物資源の調達、人口増加の解決、工業製品の輸出増などがヨーロッパの繁栄や産業革命の主な原因とされる。
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