存続厚生年金基金
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バブル期までは予定を上回る運用益を確保した基金は珍しくなかったが、その後は運用実績が振るわない基金が激増した。健全とされる基金は1割程度に過ぎず、特に総合型の基金で財務の悪化が目立ち、保有資産が最低責任準備金に満たないいわゆる「代行割れ」が社会問題になった。 厚生年金基金制度においては、代行部分が母体企業の決算上の負債に計上されるようになったこともあり、2002年(平成14年)4月の確定給付企業年金制度の創設時に合わせて代行部分の返上(いわゆる「代行返上」)が認められたことによって、単独型・連合型の厚生年金基金の多くが確定給付企業年金へ移行した。また、2004年(平成16年)の厚生年金法改正によって、厚生年金基金の財政運営が抜本的に改正され、代行部分に係る財政の中立化が実施された。 2012年(平成24年)9月27日に厚生労働省が、AIJ投資顧問の年金消失事件に端を発する加盟中小企業の財政悪化により制度廃止する方針を固め、法改正により、2014年(平成26年)4月1日以降の厚生年金基金の新規設立は認められなくなった。本来3階部分のみの運用であれば国の年金制度とは無関係であるが、公的年金である厚生年金の一部を代行運用として基金が運用しているため、国の関与が必要とされるのである。 具体的には、2014年(平成26年)4月から「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(改正厚生年金法)」により5年間の特例を設け、財政状態が悪化した基金(具体的には、年金給付等積立金の額が責任準備金相当額の8割を下回る、他事業の継続が著しく困難なものとして政令で定める要件に適合するもの)を清算型基金に指定し、該当する基金の解散を促した。 清算型基金は、清算計画を作成し、厚生労働大臣の承認を受けることが出来、その承認を受けたときに解散する。清算計画の承認申請は、基金及び各事業主が自らの納付分について作成する清算型納付計画の承認申請と同時に行わなければならない。厚生労働大臣は清算型基金の指定をしようとするときは、あらかじめ社会保障審議会の意見を聴かなければならない。指定後は、基金は代行部分の額に相当する老齢年金給付の支給義務を免れる。5年間の間に、代議員の定数の3分の2以上の多数による代議員会の解散議決あるいは事業の継続不能により自主的に解散しようとする基金(自主解散型基金)については、解散予定日において年金給付等積立金の額が責任準備金相当額を下回ると見込まれるときは、厚生労働大臣に対して責任準備金相当額の減額を可とする旨の認定を申請することができる。この申請は、基金及び各事業主が自らの納付分について作成する自主解散型納付計画の承認申請と同時に行わなければならない。この間に加入企業が倒産してもその負債を他の企業が負う必要はなく、また代行部分の不足額を分割して返済できる期間を15年から30年に延長する。 清算型、自主解散型とも、指定日・申請日の翌月以降の老齢年金給付(代行部分を除く)及び脱退一時金等の給付の全額について、支給を停止しなければならない。 さらに、5年経過後も存続する基金に対し、以下のいずれにも該当する場合は、厚生労働大臣はあらかじめ社会保障審議会の意見を聴いたうえで、当該存続基金の解散を命ずることができる。 基金の事業年度の末日(基準日)における年金給付等積立金の額が、当該基準日における基金の加入員及び加入員であった者に係る責任準備金相当額の1.5倍を下回るとき 基準日における年金給付等積立金の額が、最低積立基準額を下回るとき
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