太宰治の落選についてとは? わかりやすく解説

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太宰治の落選について

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/22 21:09 UTC 版)

芥川龍之介賞」の記事における「太宰治の落選について」の解説

第1回芥川賞では、デビューしたばかりの太宰治候補となった太宰当時パビナール中毒症悩んでおり薬品代の借金もあったため賞金500円熱望していたが、結局受賞はしなかった。この時選考委員一人だった川端康成太宰について、「例へば、佐藤春夫氏は『逆行』よりも『道化の華』によつて作者太宰氏を代表した意見であつた。(中略)そこに才華見られ、なるほど『道化の華』の方が作者の生活や文学観を一杯に盛つてゐるが、私見によれば作者目下の生活に嫌なありて、才能素直に発せざる憾みがあつた」と言ったことに対し太宰は『文藝通信』において以下のように反論した事実、私は憤怒燃えた小鳥飼い舞踏を見るのがそんなに立派な生活なのか。刺す。さうも思つた。大悪党だと思つた。そのうちに、ふとあなたの私に対するネルリのやうな、ひねこびた熱い強烈な愛情をずつと奥底感じた。ちがふ。ちがふと首をふつたが、その、冷く装うてはゐるが、ドストエフスキイふうのはげしく錯乱したあなたの愛情が私のからだをかつかつとほてらせた。さうして、それはあなたになんにも気づかぬことだ。(中略)ただ私は残念なのだ。川端康成さりげなささうに装つて、装ひ切れなかつた嘘が、残念でならないのだ。 — 太宰治川端康成へ」 この批判対し川端翌月に、「太宰氏は委員会様子など知らぬというか知れない知らないならば尚更根も葉もない妄想邪推はせぬがよい」と反駁して石川達三の『蒼氓』と太宰の作の票が接近していたわけではなく太宰強く推す者もなかったとし、「さう分れば、私が〈世間〉や〈金銭関係〉のために、選評故意太宰氏の悪口書いたといふ、太宰氏の邪推晴れざるを得ないだらう」と述べているが、プライベートに関して人格攻撃をしたこと自体は後に謝罪したその後太宰第3回選考前に川端宛てに、「何卒私に与へて下さい」という書簡出したり、選考委員のなかで太宰理解者であった佐藤春夫何度も嘆願の手紙を送り第2回第3回候補になるべく『文藝春秋』に新作送り続けたが、前回候補挙がった作家投票2票以下の作家候補としないという当時条件のために太宰候補とならなかった。川端はこの規定決定時に欠席しており、「この二つ条件には、多少問題がある」としている。佐藤はこれらの経緯を『小説 芥川賞』と題して詳しく描いている。また、このとき太宰は『新潮』の誌面で、あたかも佐藤との間で受賞密約交わしていたかのようなアピールをしているが、佐藤には即座に否定されている。

※この「太宰治の落選について」の解説は、「芥川龍之介賞」の解説の一部です。
「太宰治の落選について」を含む「芥川龍之介賞」の記事については、「芥川龍之介賞」の概要を参照ください。

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