太宰治の自殺企図歴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 03:07 UTC 版)
太宰治は日本における文学者の自殺の中でも著名な例の一つとして挙げられている。しかし多くの文学者が初回の自殺企図で亡くなっているのに対し、太宰の場合、5回以上の自殺未遂を繰り返した後、1948年6月13日に山崎富栄とともに玉川上水に入水自殺を遂げており、いわば自殺企図の常習者といえる。そのため日本の文学者の自殺の中でも、太宰の自殺は特異な例とされている。 また太宰は自殺未遂の体験を作家としての創作活動に結び付けており、自殺が太宰自身の生、そして創作活動に組み込まれている点が極めて特徴的である。その他にも自殺企図の要因として生家との関係が絡んでいたこと、最後の入水自殺を除いて自殺企図の手段が確実に死に至るものとは言い難いこと、明確な動機がみられない点、複数回、女性を巻き込んだ心中という形を取ったことが特徴として挙げられている。 各資料による太宰治の自殺企図年代種類方法結果題材とした小説備考1929年11月頃町の娘との心中? カルモチン大量摂取 未遂 はっきりとせず 1929年12月10日単身 カルモチン大量摂取 未遂 学生群、苦悩の年鑑、人間失格 誤飲説、偽装自殺説あり 1930年11月28日 田部あつみとの心中 カルモチン大量摂取の上での入水? 太宰治は未遂、田部あつみは死亡 葉、道化の華、虚構の春、狂言の神、人間失格、東京八景 太宰による田辺あつみ他殺説あり 1935年3月16日単身 縊首 未遂 狂言の神、東京八景 狂言自殺説あり 1936年10-11月、東京武蔵野病院入院中単身 未遂 主治医の中野嘉一によれば自殺企図の恐れ 1937年3月25日小山初代との心中 カルモチン大量摂取 未遂 姥捨、東京八景、人間失格 偽装心中説あり 1947年12月5日頃単身 薬物大量摂取 未遂 自殺企図の可能性あり 1948年6月13日山崎富栄との心中 入水 太宰治、山崎富栄とも死亡 - 山崎富栄による無理心中説あり
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