太宰治版かちかち山
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 03:51 UTC 版)
太宰治の『お伽草紙』ではかちかち山を新解釈で書き直し、美少女と男の宿命物語としている。 ウサギを十代後半の潔癖で純真(ゆえに冷酷)な美少女に置き換えている。対するタヌキは、そのウサギに恋をしているがゆえに、どんな目にあってもウサギに従い続ける愚鈍大食な中年男として書かれている。 少女は敵討ちという名目で生理的嫌悪を感じているタヌキを虐待し、男はウサギの歓心を買いたいばかりに嫌われてもただ従い続ける。「惚れたが悪いか」と言い残して溺死して水底に沈む男を見送る美少女が、汗を拭いながら美しい風景に微笑を浮かべて終わる、と言う少女の純粋さゆえの悪意と恋する男の惨めさを描いた作品となっている。 全編に落語的な言い回しが多用されており、太宰の落語好きな面をうかがわせる作品でもある。テレビ東京「月曜・女のサスペンス」にて「カチカチ山殺人事件」のタイトルでドラマ化されたが、時代は現代に設定され、少女はOLなどの改変がある。
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