大統領の任期および欠位・職務代行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 01:01 UTC 版)
「大統領 (大韓民国)」の記事における「大統領の任期および欠位・職務代行」の解説
大統領の任期は5年で、重任(再選)は出来ない(第70条)。 仮に憲法改正により任期延長や重任解禁がなされたとしても、改憲提案時の現職大統領には適用されない(第128条第2項)。 また現行の第六共和国憲法(1987年採択)では任期途中の自発的な大統領の職務辞任について特に規定されておらず、韓国の憲法学者から第68条や第71条にある「欠位」と見なす意見が提起されているものの、実例が無いため実際にどのような扱いになるかは未定である。 重任禁止規定は、朴正煕による長期間の独裁を招いた反省の上に作られた規定である。1963年樹立の第三共和国では、大統領の任期は4年で重任も1回のみとされていた。だが、朴正煕は本来禁止されていた三選を可能にする憲法改正(3選改憲)を実施したり、大統領の選出方法を国民の直接選挙から統一主体国民会議の代議員による間接選挙へ変更する改憲(維新憲法制定)を十月維新で強行したりして、結果的にほぼ16年にわたり大統領職を維持し続けた。 このような経緯から、長期独裁政治を容認したことを反省して、重任禁止規定は全斗煥政権が制定した第五共和国憲法(1980年採択)で初めて導入された。重任禁止規定は民主化宣言を経て第六共和国憲法へと受け継がれ、盧泰愚以降の歴代大統領はいずれも1期5年限りで退任している。しかし、「重任が禁止されているために、継続的な政策の実施が困難になっている」との指摘もあり、民主化以降も重任禁止規定に関する改憲が議論に上ることがある。 なお、何らかの事情で任期途中の大統領職が欠位となるか、または大統領が事故で職務不能となった場合には、国務総理(首相)を第1位、法律で定められた国務委員(各国家行政機関の長)を第2位以下とする継承順で大統領の権限が代行される(第71条)。 建国以来、韓国では大統領の権限代行が下記の通りに起きている(詳細は下記参照のこと)。 1960年:許政内閣首班/国務総理 - 四月革命で張勉副大統領、李承晩大統領・尹潽善副大統領代行が同時に辞任し、大統領職が欠位となったため。 1979年:崔圭夏国務総理 - 10・26事件で朴正煕大統領が死亡し、大統領職が欠位となったため。 1980年:朴忠勲国務総理代理 - 粛軍クーデターの余波で崔圭夏大統領が辞任し、大統領職が欠位となったため。 2004年:高建国務総理 - 盧武鉉大統領が国会の弾劾訴追を受けて職務停止となったため(のちに弾劾は否決され、職務に復帰)。 2016年 - 2017年:黄教安国務総理 - 朴槿恵大統領が国会の弾劾訴追を受けて職務停止となり、弾劾裁判で罷免され大統領職が欠位となったため。
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