大相撲での女人禁制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/28 08:10 UTC 版)
女性による神事相撲やかつて興行で行われていた女相撲、また相撲の近代スポーツ化のため女子への普及を目的として始まった女子相撲、日本相撲連盟・国際相撲連盟が統括するアマチュアの相撲大会の土俵には女性が上がることができる。 寺社の建立資金のために行われていた勧進相撲の職業団体が元となる日本相撲協会(大相撲)のみは、その伝統を重んじて土俵上を女人禁制としているが、以下のような事例から問題として取り上げられることがある。 1989年(平成元年)、森山真弓官房長官が総理大臣賜杯授与を行いたいと明言したが、日本相撲協会が拒否し、この際には女性差別問題を含め議論を呼んだ。 2004年(平成16年)、太田房江大阪府知事も知事杯授与を希望する旨表明したが、やはり相撲協会が難色を示し、知事杯の授与は男性副知事が代理して行われた。この決定に対し、大阪市内のNPO法人が性差別を助長する行為として太田府知事を相手取り、知事賞の費用を府に返還するよう求めた。「男女共同参画社会実現への積極性に欠けるとして政治的責任が議論される余地はあっても、性差別を助長する行為とはいえない」としてこの請求は棄却されたが、大阪府監査委員は「(代理授与は)決して好ましいこととは言えない」として知事賞の授与停止を検討するよう太田府知事に勧告した。 2018年(平成30年)4月4日、春巡業「大相撲舞鶴場所」(京都府舞鶴市)で、土俵上で挨拶していた市長の多々見良三がくも膜下出血で突然倒れた。観客の女性たち(看護師を含む)が土俵に上がってまっさきに救命処置を行ったが、これに対し日本相撲協会の行司が「女性の方は土俵から降りてください」「男性がお上がりください」と場内放送を行い、救命処置を中止させようとした。この対応は大きな批判を集め、後に日本相撲協会理事長の八角信芳が謝罪する事態となった。詳細は「「女性は土俵から降りてください」騒動」を参照 2019年(令和元年)8月に東京青年会議所は「わんぱく相撲女子全国大会」を創設した。わんぱく相撲の地方大会は地域の青年会議所が行っており、地域親善の色合いが強いことから女子の参加が認められていたが、優勝者が女子である場合に「わんぱく相撲全国大会」(会場は両国国技館・出場資格は男子のみ)に出場できない問題が生じていた。このため女子の全国大会参加を要望する声があがっていたことから、それに応える形で創設されたものである。なお地域で行われている相撲大会に「少年少女相撲大会」は多く存在しており、16代井筒(元関脇・豊ノ島)はその現役の頃より自らの出身地の高知県宿毛市で「豊ノ島杯ちびっこ相撲大会」、夫人の出身地である富山県高岡市で「豊ノ島杯県少年少女相撲大会」を行っている。
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