大洪水後
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 05:57 UTC 版)
その後ノアは葡萄を栽培していたが、あるときワインで泥酔して裸で眠ってしまった。ハムは父の裸を見て兄弟たちを呼んだが、セムとヤペテは顔を背けて父の裸を見ずに着物で覆った(見るなのタブー)。ノアはこれを知るとハムの息子カナンを呪い、カナンの子孫がセムとヤペテの子孫の奴隷となると予言した(創世記9章18節-25節)。ノアがなぜハムではなく息子のカナンを呪ったのかは諸説あるが、呪いが血によって子孫に継承されるなら、この時点で既に子であるカナンを残しているハムを呪っても仕方が無く、まだ子孫を残していないカナンを呪ってこそ、以後に生まれてくるカナンの子孫=ハムの子孫は呪われ続けることになるからと考えられる。 これ以外の説では「ハム=カナン」とするものがあり、セム・ハム・ヤペテは元々パレスチナ周辺しか知らない頃のヘブライ人たちによる「ヤハウェの民・カナン人・ペリシテ人」の先祖を指していて、ノアの呪いの言葉は紀元前12世紀頃の「内陸から勢力を広げたイスラエル人たちと海を渡ってきたペリシテ人によってカナン人を圧迫していたが、イスラエルとペリシテの勢力はまだ住み分けていて平和的だったころ。」を指していて、元来の話では9章後半部は18節-19節の系譜説明や22節の「カナンの父ハム」といった系譜説明的な部分がなく「カナンが悪さをして子々孫々呪われた」というシンプルな内容だったが、後世になってヘブライ人の世界観が地中海世界にまで二次的に広がり、第10章(世界観が広がった後の加筆とする)にあるように地中海各地の民族をハムとヤペテに結び付けたことで「ハムの子のうちなぜかカナン系統だけが呪われる」という不自然な流れになり、ペリシテ人もハム系(しかし呪われてはいない)とされるようになったというものである。 創世記によればノアは950歳で死んだとされる。計算の上では10代先の子孫であるアブラハムが生まれた時にはまだ存命であるが(ノアの息子セムに至ってはアブラハムが死んだ時でさえ存命である)、その後の物語には特に登場していない。 創世記の中で、「ノアの物語」を含む天地創造からバベルの塔にいたる物語は原初史といわれ史実を述べているというよりは世界の事物の意味、由来についてのユダヤ的見解を述べている部分と通常は考えられている(枠組み説による)。また、鳩がオリーブをくわえている図は平和のシンボルとして描かれることがあるが、このノアの物語に由来している。 伝説中の烏と鳩の種類については、烏はワタリガラス(raven)と明記されている。鳩は家鳩(pigeon)ではなく山鳩(dove)と記述され、種の特定はなされていないが、旧約聖書における山鳩は多くの場合コキジバト(turtle dove)もしくはシラコバト(collared dove)である。
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