地理的な高度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/19 01:36 UTC 版)
詳細は「標高」を参照 地理的な高度は、「長さ」に関連づけられた「高さ」を指すための用語であり、鉛直線上で「上」への距離(長さ)を表す。 この「高度」を測定して数値で表現するためには、そもそも基準となる面(「高さゼロの面」)を人為的に定めなければならない。いくつかの方法がある。その中のひとつの方法で、もっとも一般的な方法としては、海面の高さをゼロと考えて数値で表すことを選ぶ。測地系ではこれが最も一般的な方法である。他にも「仮に基準面と設定した面」からの高さで数値で表す場合もある。 地理的な高度の概念は、「地理学」や「地図の作成」「地図内での数値表示」などに限らず、地面の高さを意識してそれを数値で表す場合には広く用いられている。 なお海面からの鉛直線上での「下」への距離(長さ)を「水深」、「深度」又は「深さ」(depth) という。 「海面」の算出の難しさと問題 「海面からの高さ」とは言っても、現実の海水面(海面の高さ)というのは潮汐によって刻々と変動しており一定していない。世界を見渡すと、よくある干潮と満潮の差でも数メートル程度におよぶ(地域によっては干満差というのは、15メートルにもおよぶ)。 そこで、各地域(各国)によって、海面の平均値を算出することによって、架空の「海水面」を想定する、ということが行われている。平均値を算出するには、そもそも数値的な観測を行わなければならない。(国にもよるが)一般に、その国の行政府側の地図の作成や地理測量について統括する何らかの公的な組織が各国にあるので、そうした組織が潮位を測定するための施設を作り、長期にわたり測ることによって、平均値を算出している、と(多くの国で、建前上は)説明されている。 内陸部の陸地の「高さ」を算出するためには、遠方にある海水面との高さを比較しなければならないが、地球の表面は決して平面ではなく、球面であるので、平均海面を陸地の内部に延長するようにして想定した架空の面(曲面)を「ジオイド」と呼んでいる。言ってみれば、仮に海から内陸部奥深くまで運河を掘った場合に海水面がとるであろう高さを(現実には無いので、あくまで架空のものであるが)算出して求めている。さらにこの「ジオイド」というのは、厳密なことを言うと、地球の表面の重力というのは一様ではなく、いくらか偏っているので、その補正も加えなければならない。 なお、近年は地球温暖化の影響で北極や世界中の氷河の氷が溶け続けてその結果、世界各地でここ数十年で海面が上昇しつづけていてそれが常態化しつつあるので(たとえば、キリバスの島々は水没しつつあり、ベネチアでも海面が上昇しサンマルコ広場や世界遺産の聖堂がここ数十年水没してしまうことが次第に増えている、ということが現実に起きているわけであり)、「平均的海水面」が実際には変化しつつある。 高度による気温と気圧の変化 高度が上がると気圧と外気温が低下する。地球上での具体例としては、305 mごとに気温は平均2℃、1000 mごとに気圧は約100 hpa変化する。
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