国家のイデオロギー装置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/28 09:18 UTC 版)
「ルイ・アルチュセール」の記事における「国家のイデオロギー装置」の解説
そのような再生産の過程は、社会が(つまり生産関係が)広範囲になればなるほど、きちんとしたシステムとして確立される必要が出てくる。そして、実際にそのようなシステムとして機能しているのは、国家に他ならない。なぜなら、暴力(軍事力、警察力)による脅し(国家の抑圧装置)のみならず、人がシステムの規定に従って、自発的に生産関係の一部に加わるための制度や実践(学校、情報メディア、福祉的制度、文化的慣行の制度、法的に定められた家族、等々)さえもが、国家の名のもとにあるからだ。そのようなシステム・制度が、他ならぬ国家のイデオロギー装置である。
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国家のイデオロギー装置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/03 09:32 UTC 版)
「文化ヘゲモニー」の記事における「国家のイデオロギー装置」の解説
構造主義哲学者のルイ・アルチュセールは国家のイデオロギー装置という理論を提唱し、国家の様々な機構同士の複雑な関係構造がそのイデオロギーによって社会の人達に伝わり拡散されると説明した。アルチュセールは、文化ヘゲモニーに存在する覇権の概念を持ち出しているが、歴史主義を否定している。彼は、国家のイデオロギー装置(ideological state apparatuses;ISA)が社会階級間のイデオロギー的対立の場所だと主張している。すなわち、軍や警察といった国家の抑圧装置(repressive state apparatuses;RSA)とは対照的に、ISAは数多く存在する。権力内の支配階級はRSAを容易に制御できるが、ISAは階級闘争の場であり利害目的の場でもある。さらに、ISAは一枚岩の社会実体ではなく、継続する階級闘争の公的かつ私的な場として社会の至る所に散らばっている。 1968年の『On the Reproduction of Capitalism(資本主義の再生について)』で、アルチュセールは国家のイデオロギー装置が古き生産様式のイデオロギーの複雑な要素からなる社会が過剰に固まった地域であり、したがって社会における継続的な政治活動の場であると述べた。具体的には以下のものをいう。 宗教のISA(聖職者) 教育のISA(公立・私立の学校体系) 家族のISA 法律のISA(法廷) 政治のISA(政治体系、例えば政党) 労働組合のISA 通信のISA(出版、ラジオ、テレビなど) 文化のISA(文学、芸術、スポーツなど) アルチュセールは「人民の意志」によって選出された代議員が代表する国家の議会構造が国家のイデオロギー装置であると述べた。政治体系自体がイデオロギー装置であるというのは、それが「特定の」現実に対応する(政治)体系の構成部分である虚構を含むためであり、その機能原則も同じく有権者個々の「自由」と「平等」というイデオロギーに基づくほか、代議員も人民を構成する各個人による「自由な選択」に基づくためである。
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