国内外の評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/28 15:15 UTC 版)
「サルバドール・アジェンデ」の記事における「国内外の評価」の解説
チリ国内ではピノチェト同様、評価は未だに二分されている。親ピノチェト派、つまり親米の特権階級だった者、ファシスト組織のメンバー、ピノチェトのネオリベ政策から恩恵を得た多国籍企業関係者たちにとっては、左転回により国に混乱をもたらした(実際に混乱をもたらしたのは軍事クーデターを引き起こすことを狙ったCIAなので、この主張は見事にCIAのプロパガンダにはまった虚構なのだが)、あるいは平等社会を実現しようとした、あるいは銅をチリ国民のものにした(銅は今も多くの実業家が民営化したがる国営産業である)唾棄すべき存在である。一方で、前政権(フレイ政権)期に抑圧と貧困を押し付けられた一般チリ国民や、ピノチェトの圧政とネオリベ経済政策に苦しめられた多数の一般チリ国民からは、今でも英雄視されている。2008年、チリ国民はアジェンデを歴史上最も偉大なチリ人に選んだ。 クーデター45周年目にあたる2018年9月に行った歴代大統領に関する支持率調査では、アジェンデを評価する意見(とても良い+良い)は20%、肯定も否定もしない意見(普通)は20%、否定する意見(悪い+とても悪い)は31%、「回答しない」と答えたのは29%となり、未だに評価が分かれていることを示す結果となった。 また、カラカス、ハバナ、パリ、ボローニャ、マドリッド、マナグア、モンテビデオなど、中南米や欧州諸国の各地にアジェンデの名前を冠した通りや広場などが続々と建設されている事例は、チリ国外のスペイン語圏の左派勢力を中心に、死後もアジェンデが一定の評価を得ていることが推測される。 2017年大韓民国大統領選挙において共に民主党の有力候補とされていた李在明は、2016年に大統領選に向けた訴えの中で「反乱軍に機関銃を持って闘ったアジェンデの心情で政権交代を越え、国家権力の正常化を図るべきだ」「国と国民のために機関銃を持って命を捧げたアジェンデ大統領ぐらいの覚悟がなければ、韓国社会のその根深い悪習と不義を掘り起こすことができるのか」とアジェンデを引き合いに出した発言をした なおチリ国内については、ピノチェト軍政期の恐怖の記憶が今も生々しくチリ国民の間に残っているため政治的表明を控える者が多いこと、また、1960年代からCIAが大々的に展開した反アジェンデのプロパガンダ工作(わざわざ社会党員を名乗って一般市民に暴力をはたらくなど)を今も事実として誤認している者が多いと考えられることを考慮に入れる必要があるため、評価の実態を把握するのは難しいとされている。ピノチェトの新自由主義的な経済政策を主導したミルトン・フリードマンがチリの経済を「チリの奇跡」と呼んで自画自賛したことの影響も大きいとされている[要出典]。
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