国内外への公表
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2011年12月19日、朝鮮中央テレビは通常であれば午後5時より放送を開始するところを、この日は大幅に繰り上げ午前9時に放送を開始した。午前10時、10時半、11時半の3回、朝鮮中央テレビに朝鮮中央放送、平壌放送は同日正午に特別放送を行うことを予告した。番組内容は伏せられていた。北朝鮮で特別を冠した放送は、1972年の南北共同声明を伝える特別放送、1994年の金日成国家主席死去を伝える特別放送、2000年の南北首脳会談の開催を伝える特別重大放送の3例しかなく、今回も重大なことが報じられるのではという予想が立てられていた。 12月19日正午に特別放送が開始され、金正日が12月17日午前8時半に肉体的過労のため69歳で死去していたことと、先述したような死亡の際の状況が明かされた。朝鮮中央放送の番組では同局看板アナウンサーのリ・チュニが喪服姿で涙ながらに最大級の賛辞を交えながら金正日の死を伝えた。 なお、特別放送の内容を確認するまで、日本政府も韓国政府も金正日死亡の情報はつかんでいなかったとされる。12月18日には日本の野田佳彦首相と韓国の李明博大統領が京都で会談を行ったが、後に野田はその時点で死亡にまつわる動きを両国とも把握していなかったことを参議院予算委員会において認めている。12月20日には国家情報院院長の元世勲、国防部長官の金寛鎮が共に韓国国会において特別放送を見て金正日の死を知ったと証言しており、国内メディアから国家情報院の存在意義を問う声があがるなど、批判の対象となった。元プロレスラー、元参議院議員で師匠・力道山ゆかりの地でもある北朝鮮にたびたび渡っていたアントニオ猪木は、特別放送が流れる10分ほど前に金正日死亡の報に接したと証言している。また脱北者の知識人で作るNK知識連帯は、特別放送の予告に独自の分析を加え、19日午前11時40分に金正日死亡を予見するとした記事をウェブサイトに掲載している。 一方で、中国当局が劉洪才(中国語版)駐北朝鮮大使の外交チャネルによって死去当日の17日には把握していたと伝えられたが、韓国当局は「事実ではない」と否定している。また中国政府自身も、特別放送による発表まで金正日の死を把握していなかったことを関係国に対して伝えており、指導層を除いて情報が伏せられていた可能性が指摘されている。
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