問題点と今後
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 07:33 UTC 版)
PhysXの発表当初、以下のような問題があった。 導入しても対応しているゲームの挙動に影響があるだけでPC自体のパフォーマンス向上には関係ないこと ゲームが対応していなければPhysXチップの導入には意味が無いこと ゲームはPhysXに「対応している」以上のことができないこと たとえば、PhysXによって爆発の破片によるダメージ判定なども出来るが、それはネット対戦などにおいては全てのプレーヤーがPhysXを導入していなければ対応が難しい。(ゲームソフトとは別に物理演算ボードを購入する必要があった。) 限られたユーザーしか利用可能でないため、デベロッパは安易にPhsyXを必須動作条件に入れることができない。 これらの問題点はNVIDIAがAGEIAを買収した事により一定の解決を見る。ただしそれによって新たなデメリットも生じた。 メリット広いシェアを持つGeForceシリーズのグラフィックボードで動作するようになったため、利用可能ユーザーが爆発的に増加した。 専用ボードを別途購入する必要がなくなった。古いビデオカードの更新、再生支援やHDCPを利用してブルーレイや地デジを楽しむといった別の用途で購入したとしてもPhysX対応となる。 デメリット本来、グラフィック描画に用いられるはずのユニファイドシェーダーの一部を物理演算に割く事になるため、結果としてグラフィックパフォーマンスが低下する。また、NVIDIA社が提唱するPhysXエフェクトの採用はそのまま破片、水滴など描画対象の爆発的増殖と一体である。その為、物理効果が現れれば同時に膨大な描画負荷やリソース消費が発生する事になり、やはりパフォーマンスは大きく低下してしまう。以上の点から、現実問題として、単独VGAでのPhysX利用はフレームレート維持の観点から実用的ではない(演算専用のサブグラフィックスデバイスを別途用意しなければならない)。これはPhysX本格採用タイトルのCryostasis等で特に顕著である。 AGEIA買収当時においても、NVIDIA社とAMD社の関係上、またPhysXとHavokの関係上AMD RadeonのようなAMD製GPUに対応する可能性は著しく低かったが、AGEIA社のPPU、或いは8X00以降のNVIDIA製VGAを別途搭載する事により、ハードウェアPhysXをAMD社製VGA搭載機でも利用する事が出来た。だが、同社がリリースした186番台以降のデバイスドライバーは、AMD社製グラフィックシステムを検知すると、たとえPhysX対応ハードウェアがPCにインストールされていても、それらの物理演算機能を強制的に停止させてしまう。これにはAGEIA社のPPUも含まれる。 2009年10月現在、MODドライバーや非公認パッチによって、AMD系VGA搭載システムでもPhysXの利用は変則的にではあるものの、可能となっている。 しかし、AMDはIntel社のHavokと提携し、なおかつ独自にオープンソースベースの物理エンジンBullet Physicsにも着手している為、物理エンジンにおけるAMDとNVIDIAの歩み寄りは、既に非現実的なものとなりつつある。 en:List of games with hardware-accelerated PhysX supportのリストのとおり、ハードウェアによるPhysXアクセラレーションに対応したゲームタイトルの数はソフトウェアによるPhysX利用タイトルの数に比べると限定的である。
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