問題点と対処
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/06 00:15 UTC 版)
ブレーキ指令に対して各車両でブレーキの作動を均一にするには、電気指令式や電磁指令併用式がある。各車両でブレーキ力を均等にするためには、車両に取付けられた応荷重弁による応荷重制御や電空協調制御がある。一般的な電空協調制御では、電気ブレーキ力と空気ブレーキ力との合成力が1つの車両内でも列車内の各車両間でも全て均一になる。しかし、例外的な不均一ブレーキである遅れ込め制御の場合では、ノンブレーキ車両が列車内に生ずることになるため、車両間に圧縮・引張荷重が生ずる点に特徴があり、これが遅れ込め制御の最大の課題となっている。従って、この制御を狭軌の急曲線区間で回生ブレーキを有する新形式電車に導入するにあたっては、過度の遅れ込め制御にならないよう細心の注意を払う必要がある。 以下は異種編成混結列車による競合脱線事故(日本国内では1973年の小田急小田原線・柿生 - 百合ヶ丘間の例)などに学び、安全を最優先にした場合である。 軌間(狭軌)と急曲線(特にR300以下や同程度以下のポイント)の併用線区に対する使用制限 編成内の全電動車化や電動車比率の十分な確保(MT比1:1程度) 湿潤時の粘着力を考慮したトルク設定(定トルク領域の期待粘着係数や減速度を0.12以下) 常用最大ブレーキの半分程度のノッチ範囲(4ノッチ程度) 編成両数(ユニット内編成両数で数両以下) ジャークの制限(0.08g/s程度以下…保安ブレーキ程度) 直流き電区間用の回生ブレーキ車両の場合における回生失効対策(発電ブレーキ併用策) などについて考慮し、過大な遅れ込めとなる場合には、瞬時的な車両間圧縮荷重を前提にした性能設計と、架線電圧が急変(1350 - 1800V)する本線上での連結器の圧縮荷重や引張荷重が十分に限度値以下(80tの半分以下)となることの確認が求められている。
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