各打順の役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/26 22:25 UTC 版)
一番打者 出塁してチャンスを作り出し、得点することが最大の役割となる。高い打率・出塁率を維持する打撃技術や選球眼が求められる他、盗塁などで得点のチャンスを作る、次の塁へいち早く到達できるといった走力も求められる。 トップバッター(和製英語)、あるいはリードオフ・マン、リードオフ・ヒッター(leadoff man、leadoff hitter)とも呼ばれ、メディアでは「切り込み隊長」「核弾頭」といった比喩表現が使用される。 二番打者 おおよそ一番打者とほぼ同じ役割を担うが、一番打者が走者として出ている場合を想定しバントや流し打ちなどの小技に秀でた打者が起用されることが多い。走者がいれば送りバントやエンドランなどで走者を進め、いなければ自ら出塁して次打者へ繋ぐなど、チームプレイが求められる打順である。走者がいる場合の併殺を防ぐため一定以上の走力も求められる。その役割から「つなぎ役」とも呼ばれる。 近年では日本でも「二番最強打者論」に基づいて、二番に強打者を置く打線を組むチームも存在する。 三番打者 走・攻ともに秀でた強打者が求められる。「三番最強打者論」の影響もあり、チームによっては四番打者を凌ぐ実力の持ち主が起用されることも多く、打率や本塁打数に加え、チャンスを広げられる走力を兼ね備えた打者が理想的であるとされる。 四番打者 日本では長打力を誇る最強のバッターを置くイメージが強く、エース投手と並んでチームの花形とされることが多い。四番に入る打者は多くの期待と知名度を背負って打席に立つ事になるため、打者としての実力はもちろんのこと、重圧に耐えうる精神力も求められる。 プロ野球では、読売ジャイアンツのように歴代の四番打者がすべて記録されているケースもあり、新たに四番に起用された選手に対して「第○代四番」などと大々的に報道されることもある。 五番打者 優れた長打力を持つバッターが起用される。四番打者が返しきれなかった走者を生還させたり、四番が凡退したり、敬遠されたりした時の備えとしての役割を担う。 時に四番打者以上の確実性が求められるため、長打力はないが打率が高いといったいわゆるアベレージヒッターを入れるチームも少なくない。 六番打者 下位打線の為三番・四番・五番からなるクリーンナップより格の下がる選手の入る打順であり、遊撃手・二塁手・捕手などの守備の重要度の高い選手が六番に入る場合が多い。その一方でクリーンナップの直後を担う打順であることから、特に打撃に秀でた選手の多いチームではホームランバッターが入る事もある。 筑波大学の研究データによれば[要文献特定詳細情報]、六番は四番の次にチャンスで打順が回る確率が高い打順であり打ち損じの少ない巧打者を入れるのが最適とされる。もっとも、この研究があくまで日本プロ野球における統計データを分析したものであることを踏まえ、「五番打者に強打者を置く」という日本独自の慣習があるからこそ六番打者にチャンスで回るだけであり、六番打者に強打者を配すれば六番打者にチャンスで回る確率は減るという指摘もある。 七番打者 打率もホームランも無い選手が入る事が多く、特にプロ野球では守備型の選手がこの打順に入る。出塁した五番、六番を進塁させるための走力、右打ちなど小技の技術が高い選手が望ましいとされる。一方で、確実性は低いながらも長打力は高い、打撃成績自体は凡庸であってもチャンスには強いなどといった、意外性のある打者が入る場合もあり、その場合は「恐怖の七番打者」と呼ばれる。 プロ野球では、プロ入り後間もない若手選手をスタメン起用する際などに、過度な重圧を与えないために七番で起用することも多い。 八番打者 打撃の優先順位が特に低く、プロ野球などでは守備の負担の大きい捕手が八番打者に入ることが多い。打力のある捕手を他の打順で起用する際は、もう一人守備型の選手が入る。打力は期待されないものの、バントなどの最低限の技術は求められる。DH制を採用していない場合は九番に投手を置くことが多いため、敬遠されることも少なくない。 また、個人間のレベル差が激しい草野球などでは、攻守に能力が劣る選手が「八番・右翼手」(いわゆる「ライパチ」)で起用されることがある。 九番打者 DH制を採らない試合においては、ほとんどの場合で投手を起用する(打撃能力に期待できない、もしくは投球に専念してもらうため)。 DH制を採る試合においては基本的に投手を打席に立たせる必要がないため、主に一番打者へのつなぎの役割を重視して出塁能力や走力に長けた打者を起用する。また、打力は高くないがリードやキャッチング、肩など守備能力の高い捕手が先発出場する際、守備に専念するために最も打順が回るのが遅い9番に入ることがある。
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