走者がいる場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 10:10 UTC 版)
原則としてボールデッドとなり(その時点のボールの状況に関係なく次の処置が執られる)、塁上の走者に安全進塁権が1個与えられる。三塁に走者がいれば得点となる。ストライクまたはボールは宣告されない。 投手がボークを犯しながら投球または送球をして、それが暴投や捕逸あるいは悪送球になったり野手が後逸したりした場合、直ちにボールデッドとはならず、走者はボークで与えられた塁からさらに先の塁へ、アウトになる危険を冒して進塁することが許される。走者がボークで与えられた塁以上に進塁しようとした時点で、ボークと関係なくプレイは続けられる。 打者に対しては特別な処置は設けられておらず、原則としてボールカウントはそのままで打ち直しとなる。 しかし打者がボークの投球を打って安打や失策で一塁に達し、他の全ての走者が少なくとも1つ進塁した場合には、ボークはなかったものと見做してプレイはそのまま続けられる。ボークの投球が四死球となり、打者と全ての走者が1つ進塁権を得る場合(つまり走者一塁、一二塁、満塁の場合)も、ボークと関係なくプレイはそのまま続けられる。上記の場合、打者走者を含む走者が1人でも進塁できない状況があれば、たとえ走者がアウトになっていても取り消され、さかのぼってボークが宣告される。実例として1998年7月15日に横浜スタジアムで行われた試合でのケースが挙げられる。読売ジャイアンツの槙原寛己の投球を横浜ベイスターズの打者、佐伯貴弘が打ってライトフライとなったが、ボークが宣告されていたためアウトは取り消しとなった。そして投げ直しとなった投球を、佐伯が本塁打としている。 他の全ての走者が少なくとも1つ進塁した場合には、ボークで与えられた塁より先の塁でアウトになった場合でも、アウトは取り消されない。またその際に塁を踏み損なった(空過した)としても進塁したものと看做される。 三塁走者によるホームスチールやスクイズプレイの際に、捕手やその他の野手が、本塁上やフェアグラウンドに飛び出してきて投球を捕球したり、打者や打者が所持するバットに触れたりする行為があった場合には、投手にボークが課される上に打撃妨害もあわせて宣告され、打者にも一塁が与えられる。この際はボールデッドになる。この場合、他の走者にもボークによって安全進塁権が1つ与えられるが、打者が出塁することによって押し出される走者が2つ先の塁まで進めるということにはならない。 実例として1975年9月15日、甲子園球場での阪神対大洋戦がある。1 - 1の同点で迎えた延長12回裏二死三塁で大洋の投手・小谷正勝は阪神の打者・池辺巌と相対した際、三塁走者の末永正昭がホームスチールを狙ってスタートを切るのを見てセットポジションの体勢から静止せずに本塁へ投球し、この投球を捕手の福嶋久晃が捕球しようとしてホームベースに身を乗り出して打者池辺の打撃を妨害する形になった。この間のプレイに対して球審の福井宏は福嶋に対して打撃妨害を、小谷に対してボークをそれぞれ宣告した。その結果、三塁走者の末永の本塁への進塁権が認められてサヨナラゲームとなった。
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