古代ギリシア哲学におけるダイモーンとは? わかりやすく解説

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古代ギリシア哲学におけるダイモーン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/26 14:37 UTC 版)

ダイモーン」の記事における「古代ギリシア哲学におけるダイモーン」の解説

ホメロス著作では θεοί(テオイ神々)と δαίμονες(ダイモネス=神的なるものたち)とは実質的に同義語であったが、後のプラトンらはこの2つ区別して扱うようになったプラトンの『クラテュロス』(398 b) では、δαίμονες (ダイモネス) の語源を δαήμονες(ダエーモネス、「物識り」または「賢い」)としているが、実際にはこの言葉語根は δαίω(ダイオー配分する)である可能性が高い。ダイモーン個人運命握っているとされ、いわば運命配分であったプラトンの『饗宴』では、巫女ディオティーマソクラテスに対して、愛(エロース)は神ではなくむしろ「偉大なダイモーン」であると説く (202d)。彼女はさらに「全てのダイモニオンダイモーン的なもの)は神と死すべき人間中間にあるのです」(202d-e) と語りダイモーンは「人間属す事柄神々に、神々属す事柄人間に、解釈し伝達するのです。たとえば、人間から神へは嘆願生贄を、神から人間へは法令報酬を、ということです」(202e) と説明するプラトンの『ソクラテスの弁明』の中でソクラテスは、自分には「ダイモニオン」(字義的には「神的な何か」)というものがあり、間違い犯さないように「声」の形でしばしばソクラテス警告したが、何をすべきかを教えてくれることはなかったと主張した。ただし、プラトンの描くソクラテスダイモニオンダイモーンだとは全く述べていない。それは常に非人格的な「何か」であり「しるし」であったヘレニズム期ギリシア人ダイモーン良いものと悪いものとに分類しそれぞれエウダイモーン(またはカロダイモーン)、カコダイモーン呼んだ。エウダイモーンは、ユダヤ・キリスト教概念である守護天使心理学でいう上位自我似ている。それは死すべき人間見守り、かれらが災難に遭わぬようにしている。このため幸運ダイモーンはたらき賜物であるという考えから、字義的にはエウダイモーンを有している状を意味するエウダイモニアという言葉は、「幸福」を意味するようになった。これに類比しうるローマ人ゲニウスは、個人つきまとう守護神であったり、場所に取り憑いてそこを守るもの(ゲニウス・ロキ土地守護神であった。 危険で、多く場合邪悪ですらある低級精霊というダイモーン観念は、プラトンとその弟子クセノクラテスがその起源である。そのため後世人間ホメロス著作解釈すると、意味の歪曲起きた。「プラトン話法から解き放たれることは生易しいことではない」とヴァルター・ブルケルト述べている。ダイモーンギリシア神話ギリシア美術にはほとんど登場しないケールと同様、感じられる見えないものとされていたためである。唯一の例外として良いダイモーンアガトダイモーンがある。特にディオニューソス聖域儀式としてワインを飲む際にアガトダイモーン献酒する習慣があり、その神秘的存在図像学的には地中象徴的に表された。 プラトン時代以降アレクサンドロス3世が自ら始めた君主崇拝の中で、君主自身ではなく君主守護神であるダイモーンあがめるようになり、ヘレニズム期にはダイモーン守護している人物の外にあり、本人霊感吹き込み、導くものとされていた。同様に1世紀ごろのローマでアウグストゥスゲニウスあがめられるようになったが、その区別徐々にぼやけていった。

※この「古代ギリシア哲学におけるダイモーン」の解説は、「ダイモーン」の解説の一部です。
「古代ギリシア哲学におけるダイモーン」を含む「ダイモーン」の記事については、「ダイモーン」の概要を参照ください。

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