反対・否定論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 00:13 UTC 版)
投票は、市民の義務ではなく市民の権利と見なされる場合もある。市民は公民権(言論の自由、弁護士の権利など)を行使することができるいっぽうで、彼らは強制されていない。そのうえ、義務投票は他の諸権利を侵害するかもしれない。たとえば、たいていのキリストアデルフィアン派の信者(Christadelphians)は、政治的なイベントに参加すべきではないと考えている。彼らにむりやり投票させることは、表面上は、彼らの宗教的実践の自由を否定する。エホバの証人は投票を、それぞれの良心と、神と政府に対する責任の理解に基づいて下される個人的な決定と見なしている。多くの証人は投票せず、いっぽう中立を保ち、信仰を傷つけないように注意している。 法律はまた、なぜ人々が投票しなかったかその正当な理由を与えることを許すこともできる。 アメリカ合衆国内の法学者らの間で広く行なわれている義務投票に対する別の議論では、これが本質的には強制された言論行為で、言論の自由に違反するとしている。なぜなら、話す自由には必然的に話さ『ない』(not)自由が含まれるからである。 なかには、有権者が関心も知識も持っていない候補者に投票を強いられるという考えを支持しない人々もいる。なかには、十分な情報を持っている人々もいるかもしれないが、彼らは特定の候補者を好まない、あるいは現行の政治システムを支援したいという願望を持たないかもしれない。義務投票地域では、そのような人々はしばしば、ただ法的要件を満たすためにランダムに投票する、いわゆるロバ票(donkey vote)は、接戦で結果を変えるポテンシャルのある十分なパーセンテージを占める。(しかしながら、ロブソン・ローテーション(Robson rotation)が、ロバ票をすべての候補者に均等に分配するために使用される。)同様に、市民は、候補者の知識がまったくないままに投票するか、投票プロセスを遅らせて選挙を混乱させるために故意に投票を歪曲するか、軽薄または冗談の候補者に投票するかもしれない。このような議論はブラジルでしばしば放映されており、義務投票に対する反対は2008年の43%から2014年には61%に増加し、最近の2017年8月の選挙では10人中2人の投票者が投票を棄権した。また、優先順位付投票制を採るオーストラリアでもロバ票がよく出られ、一般的には投票用紙の順番でそのまま上からまたは下から1、2、3...のように記入される票を指す。 元オーストラリア野党指導者マーク・レイサム(Mark Latham)は、オーストラリア人に2010年の選挙のために空票を提出するようせきたてた。彼は、政府は市民に有権者の投票を強要したり、罰金で脅迫したりすべきではないと述べた。2013年のオーストラリア連邦選挙で、最高20ドルの非投票罰金の脅迫を考慮して、92%の投票率があり、6%が非公式または白紙の投票用紙を提出した。 義務投票は、ブラジルのような一部諸国の市民からますます憤慨されており、これは義務投票が執行される最大の国:2014年の最後の大統領選挙では、約3000万人の投票者、登録有権者の約21%が投票しなかった、これはブラジルが非投票者に対して執行された最も厳しい罰則のいくつかを持っているという事実にもかかわらず、である。
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