南の島編・アフリカ編における作画の外注
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 22:23 UTC 版)
「ふしぎの海のナディア」の記事における「南の島編・アフリカ編における作画の外注」の解説
第23話から第30話までの、ジャンとナディアが南の島に漂着してドタバタを繰り返す回、および第32話から第34話までの、島を脱出した一行がナディアの生まれ故郷に辿り着くまでの回は、作画の質が極めて低く、ストーリー展開も前後の脈絡が不自然であった。 これはスケジュールが遅延したため、全体に作品の質を低くするよりも、あえて捨てる回を作って、重要なエピソードに人的資源を集中してその回の質を高めることを意図したものだった。島編の監督は庵野でなく、樋口が務めている。これらの回の低調な作画は外注によるもので、「島編」などと呼ばれて『ロスト・ユニバース』の第4話「ヤシガニ屠る」などと同様に語り草となった。外注先が大韓民国国営のアニメ製作会社・世映動画であり、韓国人スタッフのクレジットの多くが漢字三文字であったことから「三文字作画」とも揶揄された。特に第34話はほぼ全編が挿入歌のプロモーションビデオ的様相を呈しているが、これはあまりの作画のひどさに庵野が自腹を切って作り直したためで、新しく絵を描き直す余裕も無く、これまでの絵をひたすら繋ぎ合せて編集を行った結果である。そのためか第34話の原画担当者の名前は全てペンネームで記されている。ただし第34話は絵は流用してはいるものの編集に大変な手間がかかっている。編集を担当した薩川によれば編集だけで1曲に12時間、合計で約60時間がかっているという。また薩川自身がオペラが好きなことからロッシーニの『ランスへの旅』を意識した手法がとられている。 後のテレビアニメでも、ストーリーの本筋から離れた寄り道のエピソード全般のことを「島編」と総称することがあるが、これは『機動戦士ガンダム』の第15話「ククルス・ドアンの島」が由来であるとも、本作の南の島編が由来であるとも言われている。 島編の動画の大部分を世映動画が作った理由を当時のガイナックス社長・岡田斗司夫は「最終的には確認してないし、僕にはわからないこと・調査できないこともあって事実だとは断言できないんですけど、状況証拠だけはいっぱいありました」と前置きしたうえで、当時、東宝とグループ・タックのプロデューサーから、ナディアのオンエア2年ほど前に日韓の政府間で「韓国のアニメスタジオにアニメの作り方を教える」という取り決めがなされ、NHKが作るアニメは作画の何%以上は韓国のスタジオに発注し、作画以降の動画と仕上げ、撮影のほとんどの工程をやらせると決まっていたと岡田たちが実際に説明されて「これは国会で決まったことだから」と真顔で言われたと証言している。しかし実際には国会でそのようなことが決まった事実はなく、2年前のNHKの同じ放送枠だった『アニメ三銃士』でNHKが韓国に外注することが1987年3月24日に第108回通常国会衆議院逓信委員会のNHKの運営に関する審議で取り上げれた際は、日本のアニメ産業の空洞化を招くとして国会で問題視されている。質問に立った日本共産党の佐藤祐弘議員は、日本国民からの受信料で運営される公共放送として日本の文化を育てるという見地から韓国への外注をやめて日本国内の業者に発注するよう再検討すべきと迫ったが、答弁したNHKの尾西清重理事は、韓国に外注すると1話あたり100万円から200万円くらい安く上がるとし、国民からの受信料で番組制作をする以上、経済効率を無視する訳にはいかないと述べ、国会で決まったのではなく国会でNHKが弁明したに過ぎない。 第34話スタッフ(抜粋)演出 - 宇田忠順、岡本悲八(薩川昭夫) 絵コンテ - いぬまくら(もりたけし) 作画監督 - 金世昌(世映動画)、空母そ・そ・そ・そ(庵野秀明) 原画 - KAC、マッキィ・F・スタインベック、木木木人建(もりたけし)、マスオさん(増尾昭一)、キング、紫美望、魔砂一(摩砂雪)他 色彩設定 - 高星晴美 編集 - 薩川昭夫 音響監督 - 清水勝則 ミキサー - 成清量、西澤規夫 効果 - 野口透 アニメーション制作担当 - 頼経康史、村田康人
※この「南の島編・アフリカ編における作画の外注」の解説は、「ふしぎの海のナディア」の解説の一部です。
「南の島編・アフリカ編における作画の外注」を含む「ふしぎの海のナディア」の記事については、「ふしぎの海のナディア」の概要を参照ください。
- 南の島編・アフリカ編における作画の外注のページへのリンク