化石帯
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 05:25 UTC 版)
ワイオミング州南西部のグリーンリバー累層の一部エリアは「フォッシルレイク」として知られ、非常に粒子の細かい石灰泥の明確な2ヶ所の産地が、完全で詳細な化石を多様に保存しているとして部分的に記載されている。これらの層は始新世にあたるラーガーシュテッテであり、バラバラになっていない化石が豊富に累積するのに適した状態の珍しい場所である。最も生産的な場所は「スプリットフィッシュレイヤー」と呼ばれ、葉理または年縞を持つ厚さ約1.8メートルの一連の石灰泥からなり、魚類をはじめとする化石が豊富に含まれている。これらは層に沿って容易に割れて化石を露出し、約4000年分の堆積物を示している。これとは別に「18インチレイヤー」と呼ばれる化石産地があり、これは葉理を持たない厚さ約46センチメートルの層で、これもまた詳細な化石を多く含むが、割れやすい葉理で構成されていないため化石採集は前者よりも難しい。 この石灰岩の母岩は粒子が細かいため、落ち葉や完全な昆虫の軟体部を含む化石が極めて詳細に保存されている。22目を超える昆虫がワシントンD.C.スミソニアン学術協会のグリーンリバーコレクションに代表されている。 ディプロミストゥスやナイティアの化石はフォッシルレイクで発見されるが、Gosiute湖では発見されない。Gosiute湖だけはナマズ(イクタルルス科とヒプシドリス科)やサッカー科の化石が産出している。ナマズは主に湖の最深部で発見される。 グリーンリバー累層の多様なフォッシルベッドは500万年分に相当し、5350万年前から4850万年前にあたる。このタイムスパンには始新世前期の湿潤な気候から始新世中期のわずかに乾燥した気候への移行期が含まれる。湿潤かつ穏やかな気候は寒冷気候に適さないワニの繁栄を支え、湖はプラタナス・ワイオミンゲンシスなどのプラタナスの森に囲まれていた。湖の構成が遷移したため、グリーンリバーの産地はそれぞれ特徴と時代が異なる。湖系は下に横たわる河川の三角州により形成され、北部と東部でウインタ高地とロッキー山脈の堆積物を受容し、わずかな造山運動で平坦な風景へ遷移した。ラーガーシュテッテはレイクベッドを形成する炭酸塩泥を嫌気環境で形成した。酸素の欠乏がバクテリアによる分解を抑制してスカベンジャーを寄せ付けず、成長途中に受けた昆虫による食害を示すヤシやシダ・プラタナスの葉が極めてきめ細かい堆積物に覆われて保存された。昆虫などは繊細な羽やクモの吐糸管なども含めて全身が保存されている。 脊椎動物も保存されており、北アメリカ西部の始新世の穏やかな気候の手がかりとなる、ワニのボレアロスクスの鱗甲が発見されている。魚類はありふれている。群れが無酸素水層を彷徨って衰弱死したかのように、ニシンに近い魚類ナイティアの化石が密集した層でしばしば保存されており、化石愛好家に親しまれ、市場でも最も一般的に売買されている。固有の淡水エイ Heliobatis と Asterotrygon の2属も産出している。約60の脊椎動物の分類群がグリーンリバーから発見されている。魚類のほかに最低11種の爬虫類、複数の鳥類、1種のアルマジロに類似する哺乳類 Brachianodon westorum、犬サイズの有蹄類メニスコテリウムや初期の霊長類ノタルクタスなどのバラバラになった椎骨が産出している。既に飛翔のため完全に発達した既知の最初期の翼手目であるイカロニクテリス やオニコニクテリスもここで発見されている。ヘビの Boavus idelmani も同様に湖で泥岩に保存されて発見された。
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