動翼・静翼など
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 17:07 UTC 版)
回転側であるローターは、軸(回転軸、シャフト)、羽根車(ディスク)、動翼(ブレード)、シュラウドバンド類から構成される。多段式では複数のローターが静翼を挟んで並んでいる。 軸・羽根車 出力軸となる軸は剛性軸(リジッドローター)と弾性軸(フレキシブルローター)に分けられる。剛性軸は軸が太く丈夫に作られており、軸そのものの固有振動数に相当する危険回転数が定格回転数よりも高い物を指す。運転時にも危険回転数を意識する必要はない。弾性軸は軸が比較的細く作られており、危険回転数が定格回転数よりも低い物を指す。運転時でも特に始動時には必ず危険回転数を通過するため、危険回転数付近を速やかに通過させて共振状態に陥らないよう注意が必要である。また、軸は一体構造型とはめ込み型に分けられる。一体構造型は軸と羽根車が一体で作られており高速回転にも対応できるが、はめ込み型では軸と羽根車が別々に作られ組み合されたもので6,000回転/分程度までが上限である。 動翼 蒸気からエネルギを得て回転する翼(翼列)である。初段では短い動翼も終段に近くなるに従って少しずつ長くなる。発電用のものでは翼高さが最長1mを越す。動翼は共振を避けるために互いが連接して隙間を作らないようにされる。動翼のルートが羽根車に植え込まれただけでは振動に弱いため外周部でのシュラウドバンドやダンピングワイヤーで横同士がつながれる。また、大きな遠心力にも耐える必要がある。大きなローターではシュラウド・リングと回転軸の中間にもバンディング・ワイヤと呼ばれる金具が付けられる。固有振動数を高くするために先端を細く根元を太くしたテーパー翼形状や、翼先端部と翼根元部での周速度の違いから生じる蒸気流入角度の差を最小にする「ねじれ羽根」が採用されている。低圧段の羽根には翼に付く凝集水分をタービン・ケーシングのドレン溝へ誘導する溝が掘られているものがある。 静翼 固定されており、蒸気の流れが効率よく動翼へ流れるように導く。 衝動式と反動式 蒸気タービンは蒸気のエネルギーの利用のしかたにより衝動式と反動式に分類され、構造にも特徴がある。衝動式 静翼部分で蒸気の圧力エネルギーを運動エネルギーに変換し、静翼から噴出する高速の蒸気に当たる衝動力によって動力が発生する。一段落当たりの熱落差を大きく取れるので段落数は少ないが、翼は大型で幅広となる。 反動式 動翼内でも蒸気の圧力エネルギーを運動エネルギーに変換し、動翼から噴出する蒸気の反動力も利用して回転力が発生する。一段落当たりの熱落差が小さく段落数は多くなるが、翼は小型となる。
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