力士の体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/16 07:39 UTC 版)
2013年12月に慶應義塾大学スポーツ医学研究センターが当時の幕内力士25人を対象としてBOD PODによる測定を行った結果、平均身長186.3cm、平均体重161.2kg、平均体脂肪率32.5%、平均体脂肪量52.9kg、平均徐脂肪体重108.3kg、という数値が表れた。入門時と比較すると、変化の小さい力士でも20Kg、変化の大きい力士では70kg 以上の体重増加が見られた。中でもモンゴル出身の上位3人の力士(白鵬、日馬富士、鶴竜)は、入門時の体重が80kg 台だったのが、12 〜3 年かけて130 〜150kg 台まで増加し、その間に除脂肪体重が35 〜45kg も増加していた。このことから力士の体は筋肉をも伴った肥満体であると言える。 過去には暴飲暴食と土俵の稽古で体を作り上げていたが、千代の富士がケガの克服のためにウエイトトレーニングを取り入れたことを契機に徐々にトレーニング方法も近代化。2010年代には部屋稽古の後にジムで補完的なトレーニングを行う力士も現れている。栄養学的なバランスを考えた食事の普及など、故障しにくい体づくりが意識されるとともに医療技術も向上、2010年代以降は力士の現役寿命が延び始め、通算在位記録の上位がほとんど書き換えられる現象が起きている。 2019新型コロナウイルス感染拡大により勝武士幹士が死去した際には、勝武士が抱えていた糖尿病が死去の原因の1つとなったことから力士の不摂生の有無について取り沙汰されたが、時事通信の記者・若林哲治は「むしろ大酒飲みが減り、肝臓、膵臓、腎臓といった内臓の疾患やさらに昔のかっけなど力士の『職業病』は減ったように見える」との見解を示した。 アマチュア相撲に関しては公認スポーツ栄養士の橋本玲子が「体は大きくしたい。しかし、子どもたちが130キロ、150キロまで病気にならずに体重を増やすのは非常に難しい」と語っており、埼玉栄高等学校相撲部監督の山田道紀は「小学6年生で体脂肪率が60%に達する者もいる」と深刻な現実を指摘している。 『yomiDr.』のコラムでは「中卒で入門した体重70~80キロの新弟子が、2、3年で150キロを超えます。こんなに極端な人体改造をするスポーツはほかに思い当たりません」と指摘されている。 「Physical Activity and Nutrition」に論文が掲載された筑波大学内科系スポーツ医学渡部研究室の小川美織らの研究によると、14±2歳のジュニア相撲選手群と11±1歳の相撲以外のスポーツ群と11±1歳の非運動群を対象に調査した結果、相撲以外のスポーツ群と比べ血圧が有意に高く、善玉コレステロール値が有意に低いことが明らかになっている。
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