利用の減少および現在も続く特殊目的での利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/15 05:09 UTC 版)
「真空管」の記事における「利用の減少および現在も続く特殊目的での利用」の解説
21世紀では、一般的な電気電子回路において汎用的(整流、変調、検波、増幅など)に用いる目的の素子としては、多くが半導体素子に置き換えられ、真空管はその役割をほぼ終えているが、半導体では実現が難しい高周波/大電力を扱う特殊な用途での増幅素子として現在でも使われており、日本でも放送局用、また防衛省向けとして製造されている。またオーディオアンプや楽器用アンプなどでは、現在も真空管による増幅回路がしばしば用いられるため、それらの用途のための真空管が現在も製造されている。 一方、特殊な真空管の一種であるマグネトロンは、強力なマイクロ波の発生源として、電子レンジやレーダーなどに使われ、現在でも大量生産されている。テレビ受像機などに用いるブラウン管も広義の真空管であり世界で量産されているが、薄型テレビへの移行から減少傾向にあり日本国内での生産はオシロスコープなどの測定機などを除き終了している。 他にも、X線を発生させるX線管や、高精度光計測に用いる光電子増倍管、核融合装置のマイクロ波発生源など、真空管は高度で先端的な用途に21世紀現在も使われている。プラズマディスプレイや蛍光表示管 (VFD) などには、長年に渡り蓄積された関連技術が継承されている。東日本大震災で事故を起こした福島第一原発の現場では、真空管はトランジスタより放射能の影響を受けにくい性質を利用して、人が安全に立ち入ることが困難な場所における現状確認と廃炉作業のためのロボットに搭載するカメラなどに真空管を用いる事が予定されている。また、MOS型FETやバイポーラトランジスタと真空管の構造をあわせ持つ真空チャネルトランジスタの実用化も徐々に現実味を帯びつつあり、デジタル回路の高速化のほか、高速動作を生かしたテラヘルツ波の送受信回路、そして真空管同様に放射線(宇宙線)の影響を受けにくいことを生かした人工衛星への利用も期待されている。
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