内水停滞による浸水
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 17:35 UTC 版)
河川改修により六角川からの氾濫防止が強化されると、増水時には堤内(農地・居住地)より堤外(六角川)の水位が高く自然排水が困難になり、特に昭和中期からは内水の停滞による浸水被害が目立つようになった。六角川流域全体の6割が増水時に自然排水が難しい内水域となっていて、堤内から堤外へ強制排水を行う排水機場(排水ポンプ場)の設置が1970年代から進められ、その数は六角川と武雄川で36か所(排水能力合計約220 m3/s)、牛津川で24か所(同 約140m3/s)に上り、合わせておよそ360m3/sとなっている(2021年8月時点)。 2019年(令和元年)8月の水害は「佐賀豪雨」と呼ばれ、六角川本流からは氾濫しなかったものの支川や水路から溢流して武雄市、大町町、江北町、白石町、の平野部が広く浸水し、流域合計で死者3名、家屋の床上浸水約1,100戸、床下浸水約1,800戸、浸水面積約6,900haに及んだ。大町町では浸水した鉄工所でタンクから焼入油が流出、油膜となって下流方面の住宅や田畑に被害をもたらした。これに伴い3度目の激特指定と国・県等が連携した「六角川水系緊急治水対策プロジェクト」を発表、六角川本川の流下量を増やし排水可能度を上げることで内水被害を減らすため、河道掘削(浚渫)、排水機場の新増設、新たな遊水地の設置を5年程度で行う計画を立て、また農業者等の理解・協力を得てため池や堀(クリーク)の水位を事前に下げる取り組みの強化などが進められる。 2021年(令和3年)8月には大町・佐賀・嬉野で9日間に1000ミリを超える豪雨により、内水停滞に武雄市橘町大日での氾濫が加わって武雄市・大町町などが浸水し、農業・水産業の被害額は2019年を上回る規模となった。激特事業による河道掘削はこの時点で計画の8割実施済みで、白石町や江北町ではクリークの水位を下げる取り組みが行われていたが、更なる対策が求められる事態となった。 なお2019年に計画が発表された、本川上流・武雄市東川登町の稼働中の採石場を予定地とする六角川洪水調整池は、1990年と同規模の雨で被害を半減させる設計だが、完了まで20年ほど要する見込みである。
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