兵役忌避・良心的兵役拒否
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 01:12 UTC 版)
「徴兵制度」の記事における「兵役忌避・良心的兵役拒否」の解説
現在の韓国では良心的兵役拒否は一切認めておらず、公益勤務要員、産業技能要員、専門研究要員、義務警察官、戦闘警察官、海洋警察、警備矯導隊、義務消防隊などの軍隊以外での勤務を行うことで2年の兵役を4週間に短縮する制度がある。しかし、この代替服務制度も段階的に縮小して廃止し、重症の身体障害者を除いてはボランティアの形で服務する社会服務制を導入する予定だと報道された。しかし、これについて国防部は、記事は誤報であり、代替服務制の廃止はただの論議であったと説明した。 韓国では、良心的兵役拒否者で処罰を受けた人は、1954年から2018年まで約2万人に上る。また、その99.2%がエホバの証人の信徒とされる。 大学在学中に休学して兵役に就く者が多く、大学受験の浪人が制限されるなどの影響があり、韓国の受験戦争が加熱する要因の一つともなっている。2002年には、アメリカで活動していた歌手のユ・スンジュンが、代替勤務を容認されながら入営直前にアメリカ市民権を取得したため、兵役忌避とみなされ13年間の入国拒否処分を受けた。 一方で、就職に影響が少ない大学在学中に兵役を済ませようとする若者も多いが、予算や兵舎の問題から、韓国軍が受け入れられる人数にも限りがあるため、毎年、入隊を希望しながらも入隊できない者もいる。彼らは入隊が適うまで大学を休学する事もある。このような「入隊浪人」が、毎年5万人ほど出ている。 2000年代頃より宗教上の理由で兵役を拒否する良心的兵役拒否者が出てきて、裁判で有罪判決を受ける者が増えてきている。年に750人程度が兵役拒否を行い、懲役刑を受けて刑務所へ収監されている。現在、全世界の兵役拒否を理由とした良心の囚人の内、韓国人が占める割合は90%を超えている。兵役拒否者は、大韓民国兵役法 違反で1年6カ月から3年の懲役に処されている。2016年10月18日、光州地方裁判所は、入営を拒否して兵役法違反の罪で起訴されたエホバの証人の信者3人に対し、無罪を言い渡した。この3人は、一審では禁錮18月の有罪とされており、それが覆っての無罪だ。これまで韓国では、一審で宗教的兵役拒否に無罪を言い渡す事例はあったが、二審では逆転有罪となっていた。この判決のように、二審で無罪となった事例は初めてのため、この判決は韓国内で注目されているが、最高裁が今後この判決を支持する可能性はないという見方が大勢だ。 また、プロ野球などのスポーツ選手や芸能関係者らがあらゆる手段を用いて兵役逃れをしていたことが相次いで発覚し、社会問題化した。彼らに対する批判的意見はもちろん強いが、スポーツや芸能活動にとって、若い時代に長期間軍隊に拘束されることによるマイナス面は非常に大きいため、同情的な意見もある。 徴兵を忌避して、韓国から出て行く若者もおり、2013年にはフランスに亡命した兵役拒否の韓国人男性の難民申請が認められたケースもある。
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