公訴時効制度に関する諸学説とは? わかりやすく解説

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公訴時効制度に関する諸学説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 01:17 UTC 版)

公訴時効」の記事における「公訴時効制度に関する諸学説」の解説

日本では公訴時効制度設けられている理由について次のような見解がある。 実体法説 時の経過とともに犯人が憎い」「厳罰処すべし」といった社会復讐感情減少し、また刑罰により一般人に対して犯罪思い止まらせる必要性や、犯人対す再教育必要性減少(可罰性が低下する)することで国家刑罰権消滅する点に本質があるとする説である。 この説に対しては、刑罰権消滅しているのであれば無罪判決言い渡すべきであるところ、法が免訴判決言い渡すべきと規定すること(刑事訴訟法3374号)との整合性がないという批判がある。 この批判に対して、他に免訴となる事由として、犯罪後の法令により刑が廃止されたとき(刑事訴訟法3372号)及び大赦があったとき(刑事訴訟法3373号)という明らかに刑罰権消滅した場合含まれることから、刑罰権消滅免訴判決矛盾しないという反論がある。 訴訟法説 時の経過とともに証拠物凶器写真など物的証拠)が散逸し、または経年劣化による腐敗長期間保存事実認定困難になり、適正な審理ができなくなることを防止するため公訴権消滅する点に本質があるとする説である。 この説に対しては、証拠十分に存在する場合にも一律に公訴権消滅することの説明つかないという批判(i)がある。DNA型鑑定などの科学技術飛躍的に向上したことにより、証拠長期保全可能になったことが批判背景にある。また、刑事訴訟法250条が法定刑重さにより時効期間に差を設けていることを説明しきれていないという批判(ii)がある。 しかし、批判(i)に対しては、長期保存可能な証拠存在しても、この証拠犯罪事実との関係性故意認定については、結局、他の証拠に頼らざるを得ず時の経過による事実認定困難性解決できるものではなくまた、科学技術向上したとしても被告人有利な証拠アリバイなど)や無罪証拠散逸免れず誤判恐れ変わりはないという反論がある。 競合説実体法説」と「訴訟法説」の両方理由があるとする説である。 両説対す批判はこの説についても向けられるという批判がある。 しかし、競合説実体法説対す批判には訴訟法説答え訴訟法説対す批判には実体法説答えることに特徴があり、そのような批判当たらないという反論がある。 新訴訟法説 犯人疑われている者が一定期間訴追されない場合、その状態を尊重し個人地位安定を図るため公訴権消滅する説明する殺人事件があった場合家族恋人犯人視されることや、現金なくなった場合経理担当者横領犯視されることがあるが、このような法的に不安定な状態を永遠に続けないために、公訴時効があるということになる。 この説に対しては、公訴時効本質論説明放棄しているという批判がある。 なお、『犯人疑われている者』を『犯人』に置き換えた「『犯人』が一定期間訴追されない場合、『犯人』の地位安定を図るために公訴時効があるとする説」は新訴訟法説ではなく実体法説である。 その他の学説 アリバイなどの「無実証拠」は時の経過とともに急速になくなるので、無実の者を誤って有罪にすることを防止するため、時間制限があるとする説がある。訴訟法説との違いは、訴訟法説では「有罪証拠散逸」あるいは「有罪証拠無罪証拠散逸」を理由するのに対し、この説では、もっぱら無罪証拠散逸」を理由として「被告人防御保障」を時効存在意義としている。 なお、上記新訴訟法説とこの説を合わせて実体法説でも訴訟法説でも競合説でもないという意味で、大括りに「新訴訟法説と言う場合もある。

※この「公訴時効制度に関する諸学説」の解説は、「公訴時効」の解説の一部です。
「公訴時効制度に関する諸学説」を含む「公訴時効」の記事については、「公訴時効」の概要を参照ください。

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