公訴時効の期間の算定基準に関する問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 01:17 UTC 版)
「公訴時効」の記事における「公訴時効の期間の算定基準に関する問題」の解説
法律の改正があった場合について 時効期間の変更があった場合 犯罪行為が終わった後、起訴前に時効期間を変更する立法があった場合 #改正前の規定に服するのか(行為時説) #改正後の規定に服するのか(裁判時説)という問題がある。 前述の平成16年法律第156号による改正では経過規定が設けられ、改正前の期間によることとしている(刑法等の一部を改正する法律(平成16年法律第156号)附則第3条第2項)。 経過規定がない場合、時効制度を純然な訴訟上の制度と解して、裁判時説に立つ説(旧法以来の判例の立場)と、時効によって刑罰権が消滅するため、刑法6条を準用して、もっとも短い公訴時効期間に従うとの説がある(鈴木茂嗣、参考文献『注解 刑事訴訟法 中巻 全訂新版』265頁)。 法定刑の変更があった場合 当該犯罪についての法定刑が変更された場合、改正された後の法定刑に定められた罰条によって公訴時効が定まる(適用時法定刑説)。つまり、犯罪後の改正により法定刑が重くなった場合は、改正前の刑に基づくことになる(刑事罰不遡及の原則)。逆に軽くなった場合は、経過規定がある場合を除けば、刑法第6条により改正後の軽い刑に基づく。判例 は、この立場に立つ。 期間計算の標準となる刑について 科刑上一罪の場合、時効期間の算定基準に関しては以下の二つの説がある: 本来は数罪なので、各犯罪ごとに時効を決定するという、個別説(大部分の学説)。 一罪として処理されるので、一体としてとらえるべきで、その中の重い罪を基準とする、統一説(判例1 判例2 の立場)。 ただ、判例は、牽連犯について、時効期間を一体として考えると、手段行為の公訴時効は、目的行為が実行されない限り完成しない不都合が生じるので、各訴因について、時効期間を決すべきとする(判例1 判例2)。 両罰規定の場合、業務主又は法人について罰金が課されるがこの場合の時効は、行為者に懲役が規定されていても、業務主又は法人について課される罰金の時効(3年)になる(昭和35年12月21日 最高裁判所大法廷 判決)。ただし個別立法の多くは、両罰規定の適用において、行為者の時効の例によるという規定をおいて時効期間を行為者と同じにしている(例 法人税法第164条第2項)。 訴因変更と公訴時効
※この「公訴時効の期間の算定基準に関する問題」の解説は、「公訴時効」の解説の一部です。
「公訴時効の期間の算定基準に関する問題」を含む「公訴時効」の記事については、「公訴時効」の概要を参照ください。
- 公訴時効の期間の算定基準に関する問題のページへのリンク