偽の歴史についての本
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/14 18:02 UTC 版)
「ナチズムにおけるオカルティズム」の記事における「偽の歴史についての本」の解説
"The Occult Roots of Nazism"のドイツ語版に収録されているエッセイでは、秘教研究を出版するオーストリアのH.T.ハクル(英語版) が、国家社会主義とオカルティズムに関する憶測の起源を1940年代初期のいくつかの作品に遡った。彼の研究は"Unknown sources:National Socialism and the Occult"(未知の情報源:国家社会主義とオカルト)という短い本で出版され、グッドリック=クラークによって翻訳された。クルト・ヴァン・エムセン(ドイツ語版)というペンネームの作家は、1933年の時点でヒトラーを「悪魔的性格」と表現したが、彼の作品はすぐに忘れられた。ヒトラーがオカルトの力に従っているという考えは後に多くの作家が取り入れたが、最初に仄めかしたのはフランスの密伝キリスト教(英語版)主義者のルネ・コップである。1934年6月と1939年4月に秘教についての月刊誌Le Chariotで発表された2つの記事において、彼はヒトラーの力の源が超自然的な力にあることを突き止めようとした。2番目の記事のタイトルは、"L'Enigme du Hitler"(ヒトラーの謎)である。ハクルは、1930年代の他のフランスの秘教の雑誌からは同様の考察を見つけることができなかった。1939年、フランスの別の作家、エドゥアール・サビーが"Hitler et les Forces Occultes"(ヒトラーとオカルトの力)という本を出版した。この時点でサビーはハヌッセンとイグネイシャス・トレビッチ・リンカーンについて言及している。ハクルは、エドゥアール・サビーがナチスのオカルティズムの神話の著作権を持っているというような意味のことを遠回しに述べてさえいる。しかし、1939年のもう1つの重要な本として、ヘルマン・ラウシュニング(英語版)の『ヒトラーとの対話』の方が有名である。その本では、(「黒と白の魔術」の章において)「ヒトラーは彼を連れ去った力に身を委ねた。……彼は呪文に身を委ねた。それは象徴的な比喩ではなく、正当な理由により、悪魔の魔術といえるものであった」と語られている。 グッドリック・クラークは、「1960年から1975年にかけて書かれたナチスのオカルティズムについての(疑似歴史的な)本」を分析し、それらは「概してセンセーショナルで研究不足」あった。このジャンルの決定要素と「説明参照の最終的な論点は、過去の国家社会主義の歴史家には隠されたままの作用因子である」ゆえ、彼はこれを「偽の歴史」と称している。この文献の特徴的な傾向は、(1)「一次資料に対する全くの無知」および(2)「完全に嘘の『事実』」でさえ確認しようとせず、「不正確な発言と乱暴な主張」が繰り返されることである。下記は"The Occult Roots of Nazism(英語版)"の付録Eで誤りが暴かれた本である。 "The Morning of the Magicians(英語版)"(『神秘学大全』、1960年、ルイ・ポーウェル(英語版)、ジャック・ベルジェ(英語版)) "Bevor Hitler kam"(1964年、Dietrich Bronder) "The Spear of Destiny(英語版)"(『運命の槍』、1972年、トレバー・レブンズクロフト) "Les mystiques du soleil"(1971年、ジャン・ミシェル・アンジェベール) "The Occult Reich(英語版)" (『魔術師ヒトラー』、1974年、ジェームズ・ハーバート・ブレナン) "Luzifers Hofgesind, eine Reise zu den guten Geistern Europas"(1937年、オットー・ラーン(英語版)) グッドリック=クラークの著書で上記の本は付録においてのみ言及されており、著作においてはこのジャンルの文献を出典としておらず、他の資料が使用されている。"The Occult Roots of Nazism"以降に出版された下記の本は、虚偽であると証明された主張を繰り返し続けている。 "The Unknown Hitler"(『独裁者ヒトラーの錬金術 -ミダス王になろうとした男』、1988年、ヴルフ・シュワルツヴェラー) "The History of Nazi Occultism"(2000年、Alan Baker)
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