倉吉弁とは? わかりやすく解説

倉吉弁

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/12 14:28 UTC 版)

倉吉弁を使った案内看板。倉吉市西仲町にて2018年に撮影。

倉吉弁(くらよしべん)は、鳥取県中部の伯耆地方東部(倉吉市東伯郡)で話される日本語の方言である。中国方言東山陰方言に属する。米子市など伯耆西部は雲伯方言だが、伯耆東部には雲伯方言的な発音の特徴がほとんどなく、因幡地方因州弁に近い。

発音

アクセント東京式アクセントであり、そのうち中輪東京式に分類される。「かぜ」「おとが」のように、一文節内で高く発音される部分は一音節のみになる傾向が強い。さらに、旧泊村などでは、「」「が」のように、第一音節も高くなる重起伏調が聞かれる。

「高い」を「たきゃあ」、「長い」を「なぎゃあ」のように、連母音[ai]は融合して[jaa]になる。

母音の発音は共通語に近く、西隣の雲伯方言のような中舌母音は聞かれない。

文法

山陰共通の特徴として、西日本にありながら断定の助動詞は「だ」を用い、ワ行五段動詞は「貰った」のように促音便を用いる。ただし二拍語では、「かあた」(買った)、「ああた」(会った)、「はあた」(這った)のような形がある。

打ち消しには「書かん」のように「-ん」を用い、過去打ち消し(~なかった)には、「書かだった」のような「-だった」または「書かなんだ」のような「-なんだ」を用いる(戦後生まれは「-なんだ」が優勢)[1]。進行と完了のアスペクトの区別があり、進行には「降りょーる」、過去進行には「降りょーった」、完了には「降っとる」のように言う。意志を表すには、五段活用の動詞では「書かあ・書かい」、一段活用の動詞では「みよー・みょー・みょい・みゅー・みゅーい」(見よう)のような形を用いる。推量には、「降るだらあ」のように「-だらあ」が用いられる。伝聞・様態には「降りさあな」のように「-さあな」を用い、また「-げな」も用いる。比況的推量では「書くや(あ)な」や「本みちゃあな」のように言う。また尊敬の助動詞に「なはる」「なる」などがある。質問には「晴れとるかえ?・晴れとるだかいや?・晴れとるかあ?」のように、「-かえ?、-だかいや?、-かあ?」を用いる。ただし「-だかいや?」については目上の人(歳上、上司など)が質問する場合に用いられることが多い。そして、理由を表す接続助詞には「けえ」を用いる。

脚注

  1. ^ 『講座方言学 8 中国・四国地方の方言』196頁。

参考文献

  • 飯豊毅一・日野資純佐藤亮一編『講座方言学 8 中国・四国地方の方言』国書刊行会、1982年
    • 広戸惇「中国方言の概説」
    • 室山敏昭「鳥取県の方言」
  • 佐藤亮一編『都道府県別全国方言辞典』三省堂、2009年
    • 森下喜一「鳥取県」
  • 平山輝男ほか編『日本のことばシリーズ31鳥取県のことば』明治書院、1998年

関連項目

  • 丁田政二郎 - 倉吉市出身の声優・舞台俳優。2009年に倉吉弁を活かした小説『どがでもバンドやらいでか!』を出版している。

外部リンク


倉吉弁

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/20 01:56 UTC 版)

雲伯方言」の記事における「倉吉弁」の解説

鳥取県中部の倉吉弁は、雲伯方言因州弁中間位置するが、東山陰方言属し因州弁に近い。中舌母音用いられず、アクセントは中輪型東京式である。山陰全体の特徴である開合の区別断定の助動詞「だ」は用いられる

※この「倉吉弁」の解説は、「雲伯方言」の解説の一部です。
「倉吉弁」を含む「雲伯方言」の記事については、「雲伯方言」の概要を参照ください。

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