依存症と離脱症状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 00:06 UTC 版)
「薬物依存症」、「離脱」、および「身体的依存」も参照 ベンゾジアゼピン系/非ベンゾジアゼピン系の離脱症状や、抗うつ薬や抗精神病薬の離脱症状はアルコールの離脱症状のように2-3週間でおさまるものではなく長期間におよぶ。つまり遷延性離脱症候群を引き起こす可能性がある。 抗うつ薬や抗精神病薬や気分安定薬は、またバルビツール酸系やベンゾジアゼピン系の抗不安薬/睡眠薬は、離脱時に身体症状を引き起こす身体的依存の可能性がある。抗精神病薬の大量投与により生じる副作用に対して処方される抗コリン性の抗パーキンソン病薬もまた、身体症状や不安、不眠などを含むコリン作動性リバウンド症候群を生じるため、慎重な減薬が必要である。覚醒剤には身体的依存はなく、渇望のような精神的依存のみである。 乱用薬物に分類される薬物の中でも、離脱に入院を要し致命的となる可能性があるものは、ベンゾジアゼピン系やバルビツール酸系の鎮静催眠薬およびアルコールのみである。これらの薬物からの離脱の際には、入院デトックスを要するような危険な発作や振戦せん妄(DT)の兆候である頻脈、発汗、手の震えや不安の増加、精神運動性激越、吐き気や嘔吐、一過性の知覚障害の評価が必要である。 世界保健機関は、抗うつ薬のSSRIによるSSRI離脱症候群の報告よりも少ないが、SSRIに対する依存症の報告があることを記しており、またさらに研究者が中断症候群のような用語を用い依存症との関連付けを避けていることも指摘されている。 医師でさえ十分な知識を持ち合わせていない場合は多く、離脱症状について知らなかったり、離脱症状が考慮されなかったり、急激な離脱により離脱症状が強く出る場合がある。依存症の危険性がある薬物なので、深刻になれば複数の医療機関から医薬品を得るようになる可能性がある。しかしながら依存症の危険性についても医師が知らない場合があることが報告されている。処方薬による依存症についての情報提供がなかったり、激しい離脱が生じたことによる訴訟が増加している。 2012年6月にも、ほとんどの医療専門家が依存症を診断し治療するための十分な訓練は受けておらず、科学と実践との間に隔たりがあることが示されている。つまり、この依存症や離脱の理解および実践において非科学的である場合が多いということである。プライマリ・ケア医の94%もが、アルコール依存症の診断に失敗する。いかなるサプリメントにおいても離脱の助けになることを証明する根拠は存在していない。 日本の依存症回復施設において、診療所で処方された鎮静/睡眠薬に対する薬物関連障害(依存症)の数が、覚醒剤に次いで2位までになっている。これらの依存症者の大半は犯罪歴のない女性である。 アルコールや違法薬物の依存症回復施設では急速な離脱やルールを強いて、精神科の薬の依存症に適していない、つまり科学的根拠に基づいていない場合がある。多くの薬物において、急速な離脱は推奨されておらず、薬物依存症の治療が科学的根拠に基づいていないだけである。
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