人権の類型化とは? わかりやすく解説

人権の類型化

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 09:42 UTC 版)

人権」の記事における「人権の類型化」の解説

ゲオルグ・イェリネック公権論からは国家対す国民地位によって「積極地位」(受益権)や「消極地位」(自由権)といった分類が行われた。 宮沢俊義は「消極的な受益関係」での国民地位を「自由権」、「積極的な受益関係」での国民地位を「社会権」とし、請願権裁判を受ける権利などは「能動的関係における権利」に分類した佐藤幸治は「包括的基本権」、「消極権利」(自由権)、「積極的権利」(受益権社会国家的基本権)、「能動的権利」(参政権請願権)に分類する包括的権利包括的基本権生命・自由・幸福追求権法の下の平等は、それ自体権利としての性質有するとともに他の個別的諸権利保障基礎的条件をなす権利であり「包括的権利」などとして位置づけられる。 消極権利自由権精神活動の自由としては、思想・良心の自由信教の自由学問の自由表現の自由集会・結社の自由集会の自由及び結社の自由)、居住・移転の自由外国移住国籍離脱の自由がある。 経済活動の自由としては、職業選択の自由財産権の保障がある。 私的生活不可侵としては、住居等の不可侵通信の秘密がある。 人身の自由及び刑事裁判手続上の保障としては、奴隷的拘束苦役からの自由、適正手続の保障不法な逮捕からの自由、不法な抑留拘禁からの自由、拷問及び残虐刑の禁止刑事裁判手続上の保障がある。 積極的権利受益権として、裁判を受ける権利国家賠償請求権刑事補償請求権がある。 社会国家的基本権として、生存権教育を受ける権利勤労権労働基本権がある。 能動的権利能動的権利として、公務員選定罷免権参政権)と請願権がある。 人権分類法学者によっても異なるほか、多面的な権利考えられているものもある。 従来請願権請願受理求め権利であるとの理解から国務請求権受益権)に分類されてきたが、現代請願民意直接議会政府伝えるという意味が重要視されており参政権機能をも有するものと理解されている。請願権参政権分類する学説もあるが、請願権国家意思決定参与する権利ではないか典型的参政権とは異な補充参政権として捉えられることがある日本国憲法定められる権利場合学説一般に日本国憲法第25条生存権)、日本国憲法第26条教育権)、日本国憲法第27条労働権)、日本国憲法第28条労働基本権)に定められる権利を「社会権」として一括して分類している。ただし生存権などについて「社会国家的国務請求権」として分類されることもある。 我妻栄は『新憲法基本的人権』(1948年)などで、基本的人権を「自由権的基本権」と「生存権基本権」に大別し人権内容について前者は「自由」という色調を持つのに対して後者は「生存」という色調をもつものであること、また保障方法前者は「国家権力消極的な規整制限」であるのに対して後者は「国家権力積極的な関与配慮」にあるとして特徴づけ通説見解基礎となった。 しかし、社会権自由権截然二分される異質な権利なのかといった問題社会権において国家積極的な関与が当然の前提となるのかといった問題指摘されている。教育を受ける権利教育の自由や労働基本権団結自由な自由権側面問題認識されるようになり、時代要請から強く主張される新しい人権学習権環境権等)も自由権と社会権双方またがった特色持っていることが背景にある。 現代では「積極的権利」や「福祉的権利」の比重著しく増大し国際人権規約でもまず社会権的なA規約があり、然る後自由権的なB規約があるなど、具体人間即して人権問題考えようとする傾向がみられ、「自由権」と「社会権」あるいは「消極権利」と「積極的権利」という区別はあまり意識されなくなっている(市民的及び政治的権利に関する国際規約自由権規約)には法の下の平等生存権なども保障されている)。社会権自由権区別そのもの放棄する学説もあるが、社会権自由権区別有用性認めた上で両者区別相対的であり相互関連性有するとする学説一般的となっている。

※この「人権の類型化」の解説は、「人権」の解説の一部です。
「人権の類型化」を含む「人権」の記事については、「人権」の概要を参照ください。

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