交通麻痺
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 08:57 UTC 版)
「千葉県北西部地震 (2005年)」の記事における「交通麻痺」の解説
千葉県北西部地震では首都圏の鉄道が瞬時に麻痺した。JR線だけでも実に約1,200本が運休、約44万人の足に影響が出た。施設や設備に被害が出ない中程度の地震であっても、首都圏における公共交通機関は瞬時に麻痺して、帰宅困難者を生じてしまう脆弱性が露呈した。 とりわけ東京都区内の鉄道事業者によって運転再開に相当の差が出た。JR東日本や東京メトロが運転再開に最大4時間を要したのに対して都営地下鉄は僅か3分から15分程度で徐行運転を始めた。これは各事業者が設置している地震計が観測した震度による規制基準に応じて緊急停止後、次駅までの最徐行による注意運転若しくは徒歩による施設巡回点検を行い、列車の安全運行を確認した上で運転再開を行うのであるが、この運転規制が鉄道事業者ごとに大きな開きがあったばかりでなく、判定の基準とする単位系が東京メトロがガルを、JR東日本がカインを、都営地下鉄では震度と、各々の鉄道事業者によって地震データと地震対策マニュアルが統一されていなかった。 東京メトロの場合、6ヶ所に設置された地震計の内の1ヶ所が101ガルを示した。東京メトロでは100ガル以上が基準1で運転見合せとなっており、基準1と判定された。この基準により全線を徒歩による施設巡回点検を行う事になったために運転再開までに最大で約3時間を要した。JR東日本の地震計では最大26.5カイン(1カイン=1cm/sec)を観測した。この基準により30路線が運転見合せ、施設徒歩巡回したために全線で運転再開までに約7時間を要した。 都営地下鉄の場合、地震計では震度4を観測した。ところが都営地下鉄では『東京都交通局地下高速電車運転浅草線取扱心得』(三田線や新宿線、大江戸線にも同様の取扱心得がある)第三百八十四条二(震度四の場合)によれば「直ちに全列車に対し毎時二十五キロメートル以下の徐行運転をするよう指令し、駅長及び関係責任者に点検を依頼してその通報に基づき安全を確認した後、徐行運転規制を解除すること」とする地震発生時に於ける独自の運転規制により、運転再開やダイヤ回復が他社より格段に早かった。 しかし、この地震を契機に、安全確保の観点から、安全確認を減殺する事なく点検方法を効率化する試みが各鉄道事業者で検討されている。例えばJR東日本の場合、より機動的な点検方法若しくは点検用の車両の増強等について検討している。東京メトロでは基準に達したエリアのみを徒歩巡回を行うなどを検討している。 道路としては東関東自動車道、館山自動車道、東京湾アクアライン、京葉道路を点検のために一時通行止めにした。首都高速道路では16ヶ所で一時入り口を封鎖した。一般道路は特に異状が認められず、鉄道のマヒによって各駅ターミナルのバス停留所やタクシー乗り場に長蛇の列が出来た程度であった。 空港等では地震発生による発着遅れが生じた以外に施設・設備の損害や欠航は生じていない。また海事・港湾関係も同様に特に被害は認められなかった。
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