井口泰子と佐木隆三の動向
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「富山・長野連続女性誘拐殺人事件」の記事における「井口泰子と佐木隆三の動向」の解説
推理作家・放送評論家の井口 泰子(いぐち やすこ、1937年5月26日 - 2001年2月18日)は、事件発生時に女性誌から事件リポートを依頼されたことを機に、本事件の取材・調査を進めた。井口は当初、「Mが1人で殺人をできるとは思えない」と考えていたが、やがて検察側の主張に疑念を抱くとともに、被告人Mの主張を「二転三転している上に数々の嘘があり、信が措けない」と考える一方、無罪を訴える北野の主張は一貫していたことから、北野の無実を確信。裁判への関心を喚起することを目的に、1983年に「本事件はMの単独犯行」とする推理小説『フェアレディZの軌跡』(後述)を発表し、1987年にはMと北野の男女関係に焦点を当てた小説『脅迫する女』を発表した。 井口は当時、検察官の主張に異を唱えたことを「私なりに覚悟した」と回顧しているが、最終的には井口の主張通り、Mが単独犯として有罪に処された一方、北野は無罪が確定した。一方、井口はMの死刑を確定させる上告審判決が言い渡された際、「1%の奇跡を期待していたが、残念だ」と述べている。井口は2001年(平成13年)に北野からの年賀状に対し、「冤罪事件のことは忘れないでね」と返事を送ったが、この時点で末期の肺癌に蝕まれており、その事実を知らされた2日後(2001年2月18日)に死去している(63歳没)。 また、作家の佐木隆三は、検察官が冒頭陳述・訴因変更に踏み切った1985年3月以降、徳間書店の編集部の者とともに事件に関する取材活動を重ね、第一審途中の1987年5月31日に、北野が共犯として起訴されたことに疑問を呈する著書『男の責任』(ノンフィクション小説)を出版した。 第一審の最終弁論にあたり、北野弁護団はこの2人が執筆した原稿を弁論内容に取り入れ、北野の無罪を訴えた。佐木は控訴審途中の1991年9月5日、『男の責任』に加筆削除し、出版後の経緯を織り込んだ文庫本『女高生・OL連続誘拐殺人事件』(佐木隆三 1991)を徳間書店から出版したが、1994年(平成6年)に同書について、当時上告中のMから名誉毀損訴訟を提起され(後述)、Mの死刑確定後となる2000年(平成12年)に被告(佐木および徳間書店)側の敗訴が確定している。
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