事業主が講ずべき処置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/17 09:20 UTC 版)
「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の記事における「事業主が講ずべき処置」の解説
事業主は、育児休業及び介護休業に関して、あらかじめ、次に掲げる事項を定めるとともに、これを労働者に周知させるための措置(労働者若しくはその配偶者が妊娠し、若しくは出産したこと又は労働者が対象家族を介護していることを知ったときに、当該労働者に対し知らせる措置を含む。)を講ずるよう努めなければならない(第21条1項)。 労働者の育児休業及び介護休業中における待遇に関する事項 育児休業及び介護休業後における賃金、配置その他の労働条件に関する事項 前二号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項(施行規則第70条)労働者が休業期間満了前に休業期間が終了した場合において、労働者の労務の提供の開始時期に関すること 労働者が介護休業期間について負担すべき社会保険料を事業主に支払う方法に関すること 事業主は、労働者が育児休業申出又は介護休業申出をしたときは、当該労働者に対し、上記各号に掲げる事項に関する当該労働者に係る取扱いを明示するよう努めなければならない(第21条2項)。この明示は、書面を交付することによって行うものとする(施行規則第71条)。 事業主は、育児休業申出及び介護休業申出並びに育児休業及び介護休業後における就業が円滑に行われるようにするため、育児休業又は介護休業をする労働者が雇用される事業所における労働者の配置その他の雇用管理、育児休業又は介護休業をしている労働者の職業能力の開発及び向上等に関して、必要な措置を講ずるよう努めなければならない(第22条)。 事業主は、職場において行われるその雇用する労働者に対する育児休業、介護休業その他の子の養育又は家族の介護に関する厚生労働省令で定める制度又は措置の利用に関する言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない(ハラスメント防止措置、第25条)。 対象となる労働者は、有期雇用労働者を含むすべての労働者であり、また派遣労働者については派遣元・派遣先とも措置を講じなければならない。 2017年(平成29年)1月からは、ハラスメントの事実を知りながら事業主がハラスメント防止措置を講じなかったために労働者が離職した場合、当該離職者は雇用保険の基本手当の受給に当たり「特定受給資格者」として扱われ、一般の受給資格者よりも所定給付日数が多くなる。また特定受給資格者を発生させた事業主は、雇用保険法上の各種の助成金を当分の間受けられなくなる。 「厚生労働省令で定める制度又は措置」とは、以下の通りである(施行規則第76条)育児休業 介護休業 子の看護休暇 介護休暇 所定外労働の制限の制度 時間外労働の制限の制度 深夜業の制限の制度 育児のための所定労働時間の短縮措置 育児休業に関する制度に準ずる措置又は始業時刻変更等の措置 介護のための所定労働時間の短縮等の措置 事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない(第26条)。 子の養育又は家族の介護を行うことが「困難となることとなる」とは、転勤命令の検討をする際等において、配置の変更後に労働者が行う子の養育や家族の介護に係る状況、具体的には、配置の変更後における通勤の負担、当該労働者の配偶者等の家族の状況、配置の変更後の就業の場所近辺における育児サービスの状況等の諸般の事情を総合的に勘案し、個別具体的に判断すべきものである。「配慮」とは、労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものの対象となる労働者について子の養育又は家族の介護を行うことが困難とならないよう意を用いることをいい、配置の変更をしないといった配置そのものについての結果や労働者の育児や介護の負担を軽減するための積極的な措置を講ずることを事業主に求めるものではない(平成28年8月2日職発0802第1号、雇児発0802第3号)。 事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、第21条~第27条に定める措置及び子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために講ずべきその他の措置の適切かつ有効な実施を図るための業務を担当する者(職業家庭両立推進者)を選任するように努めなければならない(第29条)。 事業主は、この業務を遂行するために必要な知識及び経験を有していると認められる者のうちから当該業務を担当する者を職業家庭両立推進者として選任するものとする(施行規則第77条)。具体的には、上記の業務を自己の判断に基づき責任をもって行える地位にある者を、1企業につき1人、自主的に選任させることとする(平成28年8月2日職発0802第1号、雇児発0802第3号)。
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