介護離職を防止するための措置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/10 14:43 UTC 版)
「介護休業」の記事における「介護離職を防止するための措置」の解説
介護休業のほかに、対象家族を介護する労働者の取扱いなどについて、次の規定がある。なお、育児休業と共通する、法所定の事業主が講ずべき措置については、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律#事業主が講ずべき処置を参照のこと。 介護休暇 要介護状態にある対象家族の介護等を行う労働者(日々雇用される者を除く)は、その事業主に申し出ることにより、一の年度において5労働日(要介護状態にある対象家族が2人以上の場合にあっては、10労働日)を限度として、当該介護等を行うための休暇(介護休暇)を取得することができる。この申出は、対象家族が要介護状態にあること及び介護休暇を取得する日を明らかにして、しなければならない(第16条の5)。事業主は、労働者からのこの申出があったときは、当該申出を拒むことができないし、取得日を変更することもできない。介護休暇は、1日又は半日単位で取得(1日の所定労働時間が4時間以下の者は半日単位での取得は不可)することができる(施行規則第39~40条)。令和3年1月からは時間単位での取得も可能となる。ただし以下の労働者については、労使協定に定めることにより、介護休暇を認めないことができる(第16条の6)。 当該事業主に引き続き雇用された期間が6月に満たない労働者 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者 所定外労働の制限 要介護状態にある対象家族の介護等を行う労働者(日々雇用される者を除く)は、その事業主に申し出ることにより、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、所定労働時間を超えて労働させてはならない(所定外労働の制限、第16条の9)。この請求は、一の制限期間(1月以上1年以内)について、制限開始予定日・終了予定日を明らかにして、制限開始予定日の1月前までにしなければならない。この制限は、対象家族を介護しなくなった場合、労働者が産前産後休業・育児休業・介護休業をすることとなった場合は労働者の意思にかかわらず、終了する。ただし以下の労働者については、労使協定に定めることにより、所定外労働の制限の請求を認めないことができる。 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者 時間外労働の制限 要介護状態にある対象家族の介護を行う労働者(日々雇用される者を除く)で次のいずれにも該当しない者が、当該対象家族を介護するために請求したときは、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、制限時間(1月について24時間、1年について150時間)を超えて時間外労働をさせてはならない(時間外労働の制限、第18条)。この請求は、一の制限期間(1月以上1年以内)について、制限開始予定日・終了予定日を明らかにして、制限開始予定日の1月前までにしなければならない。 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者 深夜業の制限 要介護状態にある対象家族の介護を行う労働者(日々雇用される者を除く)で次のいずれにも該当しない者が、当該対象家族を介護するために請求したときは、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、午後10時から午前5時までの間(深夜)において労働させてはならない(深夜業の制限、第20条)。 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者 当該請求に係る深夜において、常態として当該対象家族を介護することができる同居の家族等がいる場合における当該労働者 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者 所定労働時間の全部が深夜にある労働者 所定労働時間の短縮措置等 事業主は、その雇用する労働者(日々雇用される者を除く)のうち、その要介護状態にある対象家族を介護する労働者に関して、労働者の申出に基づく連続する3年以上の期間における所定労働時間の短縮その他の当該労働者が就業しつつその要介護状態にある対象家族を介護することを容易にするための措置を講じなければならない(所定労働時間の短縮措置等、第23条3項)。なお、労働者が、その対象家族について介護休業をしたことがある場合には、93日から介護休業をした期間の日数を差し引いた日数以上の期間について措置等を講ずればよい。ただし、労使協定に定めることにより、以下の者については所定労働時間の短縮措置等を講じないこととすることができる。 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者 「労働者が就業しつつその要介護状態にある対象家族を介護することを容易にするための措置」とは、以下のいずれかの方法によって講じなければならない。さらに4.を除き2回以上利用できる措置でなければならない(施行規則第79条)。 所定労働時間の短縮の制度を設けること。具体的には、1日の所定労働時間を短縮すること 週又は月の所定労働時間を短縮すること 週又は月の所定労働日数を短縮すること 労働者が個々に勤務しない日又は時間を請求することを認めること フレックスタイム制を設けること。 1日の所定労働時間を変更することなく始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度(時差出勤)を設けること。 当該労働者に代わって当該対象家族を介護するサービスを利用する場合、当該労働者が負担すべき費用を助成する制度その他これに準ずる制度を設けること。
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