主な事象
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 01:17 UTC 版)
Eスポが発生すると、通常は受信できない遠距離のVHF放送やVHF通信が突如として強力に受信される。日本の部分地域から全域、韓国、中国、ロシア、フィリピンなど、海外の周辺諸国や離島・地方のテレビやFMラジオの電波がEスポで反射して強く受信される。FMラジオ放送等に混信することで音声の乱れが生じることがある。日本国内では、大変遠方の局が受信できたり、遠方の局の電波による混信が起きたりする。例えば関東地方では九州や沖縄のFM国内放送が突然聞こえ出し、フェーディング(受信電波の強弱変動)を伴いながら比較的短時間で受信されなくなる。 かつてはテレビ放送においてもEスポ発生の影響で地上アナログテレビ放送の1 - 3チャンネルに混信による画像や音声の乱れが生じることがあった。ただし現在では、地上デジタルテレビ放送がUHF帯に移行し、アナログテレビ放送が2012年3月31日までに全て終了(岩手・宮城・福島以外の都道府県では2011年7月24日終了)したため、日本国内テレビ放送においてはEスポ反射による混信は解消された。 トーンスケルチ機能を持たない場合、地方自治体の同報系防災無線設備を利用した「地方自治体からのお知らせ」などが、同じ周波数を使っている遠方の地方自治体の設備で受信され、全く関係ない土地の「お知らせ」が流れることがある。 アマチュア無線では21MHz帯、28MHz帯、50MHz帯の周波数の反射が顕著で、長距離(300 - 1500km以内。北海道⇔関東、関東⇔九州)の交信が可能となる(ただし、21MHz以下の周波数〈7MHz - 18MHz等〉でもEスポによる反射は起こっている)。 また市民ラジオでは、出力0.5Wの小電力と小型ホイップアンテナの無線設備でありながらも、Eスポ反射を利用した1000km以上の遠距離交信も可能となる(オーストラリアと通信してしまった実例がある。国外のCB無線局と通信するのは電波法違反だが「犯意なし」ということで処分はされなかった)。 VHF帯の電波の電離層反射波は通常想定されていないため送信出力や割当てなどもそのようになっていない。このため、Eスポ反射波受信による混信が発生し業務無線関係者・放送関係者からはしばしば「厄介者」とみなされる。一方、アマチュア無線家・BCL(ラジオ放送受信)愛好者からはEスポは「エキサイティングな自然現象」と捉えられ大変に人気がある。
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