中継地・消費地への転換
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/11/03 09:22 UTC 版)
「タイの違法産業」の記事における「中継地・消費地への転換」の解説
近年のタイの薬物産業構造はすでに生産から、密輸中継・販売を中心とした産業に転換している。 国連薬物犯罪事務所(UNODC)の2009年の年次報告による各薬物の傾向を示すと以下のようになる。 アヘン、ヘロインに関しては、タイはアフガニスタン、ミャンマー、ラオスから製品の重要な密輸経由地となっている。 南米に原産国を持つコカインは、タイへの輸入量は少ないが、わずかながら増加の傾向がある。 メタフェタミン系覚せい剤(ヤーバー、ヤー・アイスなど)のタイでの拡大は著しい。とくに若者の間でファッションとなり、1990年代後半以降社会問題化した。タイの密輸覚せい剤の多くがこのメタフィミン系であるが、摘発量は統計上、2000年に10.08トンを記録した後、漸減しており2007年には1.29トンである。ミャンマー・シャン州などには、タイなどへの輸出を行う運び屋が入っていることが報告されている。 さらに2003年、首相・タクシン・チナワットは麻薬一掃作戦(麻薬に対する戦争)を行い、麻薬、新型薬物の蔓延に対抗した。しかし、苛烈な取り締まりで多くの死傷を出すことになる。冤罪問題を含めて、大きな人権問題となった。また、逮捕されたうち中核的人物と見られている人物などは即座に釈放となり大した成果を上げることが出来なかったという見方もある。この麻薬撲滅の政府方針は、タクシン後の政権でも一貫して引き継がれている。 また、現在ではマリファナの吸飲も行われている。これらはタイ各地で見つからぬよう小規模に、かつ広く生産されており、当局の意識が麻薬一掃作戦で覚醒剤に向けられたためその認識は非常に低い。安価で手に入りやすいことから年齢、職業に関係なく広く吸飲されている。 タイにおける薬物等の所持、使用の刑罰は非常に重く、終身刑、死刑を含む重刑が科される。2007年には17人の日本人が逮捕され、重刑を受けている。取り締まりはおとり捜査も行われる。日本国外務省では「安易な気持ちで手を出したりしないように」と注意を呼びかけている。
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