中国当局によるチベット人の武器没収と、チベット人による自主的武器放棄
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/16 04:24 UTC 版)
「チベット問題」の記事における「中国当局によるチベット人の武器没収と、チベット人による自主的武器放棄」の解説
中国当局は2008年のチベット騒乱以降、チベット自治区、四川省、青海省、甘粛省に於ける武器弾薬の取り締まりを強化した。人民日報によれば、08年4月の時点で僧侶や市民の通報に基づき、事件にかかわる僧侶の僧院宿舎などから押収した武器の内訳は、銃185丁(五四式拳銃・六四式拳銃・半自動小銃などの軍用銃7丁、模造銃41丁、猟銃・火薬銃・小口径拳銃・小口径小銃など137丁)、各種銃弾1万4367発、取締対象の刃物2139丁、爆薬3862.05キロ、雷管1万9360本、手榴弾2発、手製爆弾2発、導火線1277.15メートル。中国当局は他にも「チベット独立」を主張する旗、スローガン、横断幕、宣伝冊子などの宣伝品も多数押収した。 また四川省カンゼ・チベット族自治州康定県でも、2011年から2015年の4年間の間に警察が押収した大量の武器を住民に公開し、焼却処分した。内訳は様々なタイプの銃3410丁、各種銃弾13万3207発、爆薬18トン、雷管18万2566本、導火線2万9911メートル、規制対象刃物2521本であった。カンゼ・チベット族自治州警察は銃による犯罪998件を摘発し、容疑者1001人を逮捕した。 上述の様に当局の摘発により強制的に武器を放棄させられる場合とは別に、非暴力運動の実践的証明としてチベット人が所持する刀剣や銃弾を自ら破棄する「刀剣処分」運動がある。2012年、カム、ザチュカ(四川省カンゼチベット族自治州石渠県)でゲミン僧院の僧院長ドゥンドゥップ・ニマと地域のラマ、トゥルクたちの呼びかけにより、1000人ほどが集まり、武器を身につけず、非暴力と品行方正な生活態度を誓うための集会が開かれ、その場に集められた1000点以上のナイフ等の武器が焼却処分にされた。この種の武器破棄のイベントはカムを中心にこれまでも何度も行われているが、その目的は仏教徒の理想として暴力や殺生を否定する事以外にも、中国共産党がチベット民族全体に対して、「テロリスト」というレッテルを貼るのを防ぎ、チベット人が理想とする非暴力による独立運動の理想を守ることにある。 こうした武器の破棄は何度も繰り返し行われており、近年までチベット人が所持していたが運動により破棄された武器には、ナイフ以外にも、刀剣、猟銃、拳銃、狙撃銃、突撃銃、各種弾薬などが大量に含まれている。
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