中国の琵琶とは? わかりやすく解説

ピーパ

(中国の琵琶 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/08 07:54 UTC 版)

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ピーパ中国語: 琵琶)は、中国琵琶。広義には阮咸(げんかん)や月琴などのリュート属弦楽器もこれにに含めることがある。

歴史

「琵琶」という言葉は後漢応劭風俗通』声音篇に見え、また『釈名』釈楽器によれば胡の楽器で、馬上で演奏するものであるとする。琵琶がいつ中国に伝わったかは明らかでないが、西晋傅玄「琵琶賦」(『初学記』および『通典』が引く)の伝える伝説によると、のときに万里の長城を築く労働者が演奏したとも、前漢烏孫公主が馬上で演奏できるように作ったともいう。しかし、その記述からすると当時「琵琶」と呼んだものは今の琵琶と異なり、阮咸にあたる楽器だったらしい[1]北魏時代の敦煌莫高窟壁画に5弦の琵琶が描かれており、現在につながる琵琶はこのころ中国に伝わったもののようである。

時代の琵琶は現在の日本の楽琵琶とほぼ同じ形をしており、音楽理論が整備される中で、調弦法も多数定められ、様々な合奏にも用いられ、記譜法も確立し、宮廷音楽から民間音楽まで、合奏、独奏、歌唱の伴奏と広く愛好された。白居易の詩「琵琶行」は有名であり、楊貴妃もよく琵琶を演奏したと言われる。代に使用された琵琶は唐代までのものとは異なり、日本の盲僧琵琶にやや近い形をしており、弦数は変わらないがフレットはずっと増えて14個を備えていた。撥ではなく、へら状の義甲(ピック)で弾奏する。江戸時代文政頃、月琴や胡琴等と共に日本に伝来、明治初年頃まで明清楽として流行した。現在も長崎に伝承され、「唐琵琶」と呼ばれている。以後も中国ではこの形のものを使用しており、民間歌謡の伴奏を主にしていたが、20世紀に入り、劉天華(二胡、琵琶演奏家、作曲家・1895年1932年)らにより独奏曲が作られ始めた。更に1950年代にこの琵琶を改良して現在の琵琶が作られた。現代の琵琶は4本の金属弦を持ち、31個のフレットで半音階を演奏できる。ギターの奏法が取り入れられ、弾奏には右手の全部の指を使用し、爪か義爪によって音を出す。

古い時代の琵琶の楽譜としては敦煌文書 P.3808 の裏面に記された10世紀以前の楽譜(25曲)と、日本に残された楽譜がある[2]。その琵琶譜の譜字は現在のところUnicodeには未収録だが、追加多言語面への追加が提案されている[3]

脚注

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  1. ^ 杨荫浏『中国古代音乐史稿』上册、人民音乐出版社、1980年、129-131頁。
  2. ^ 林謙三琵琶譜新考 特にその記譜法・奏法の変遷について」『奈良学芸大学紀要 人文・社会科学』第12巻、1964年、 70–85。
  3. ^ Proposal to encode old Chinese lute notation (PDF)”. unicode.org (2017年9月7日). 2019年5月17日閲覧。

関連項目


中国の琵琶

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/17 07:22 UTC 版)

琵琶」の記事における「中国の琵琶」の解説

現代中国語ではピーパ pípá と発音する。 「琵琶」という言葉後漢応劭風俗通声音篇に見え、また『釈名』釈楽器によれば胡の楽器で、馬上演奏するのであるとする。琵琶がいつ中国伝わったかは明らかでないが、西晋傅玄琵琶賦」(『初学記』および『通典』が引く)の伝え伝説によると、秦のときに万里の長城を築く労働者演奏したとも、前漢烏孫公主馬上演奏できるように作ったともいう。しかし、その記述からすると当時琵琶」と呼んだものは今の琵琶異なり阮咸にあたる楽器だったらしい。北魏時代敦煌莫高窟壁画に5弦の琵琶描かれており、現在につながる琵琶このころ中国伝わったもののようである。 唐時代琵琶現在の日本楽琵琶とほぼ同じ形をしており、音楽理論整備される中で、調弦法も多数定められ様々な合奏にも用いられ記譜法確立し宮廷音楽から民間音楽まで、合奏独奏歌唱伴奏広く愛好された。白居易の詩「琵琶行」は有名であり、楊貴妃もよく琵琶演奏したと言われる清代使用され琵琶唐代までのものとは異なり日本盲僧琵琶にやや近い形をしており、弦数は変わらないフレットはずっと増えて14個を備えていた。撥ではなく、へら状の義甲ピック)で弾奏する江戸時代文政頃、月琴胡琴と共に日本に伝来明治初年頃まで明清楽として流行した。現在も長崎伝承され、「唐琵琶」と呼ばれている。以後中国ではこの形のものを使用しており、民間歌謡伴奏を主にしていたが、20世紀入り劉天華二胡琵琶演奏家作曲家1895年1932年)らにより独奏曲作られ始めた。更に1950年代にこの琵琶改良して現在の琵琶作られた。現代の琵琶は4本の金属弦を持ち31個のフレット半音階演奏できるギター奏法取り入れられ弾奏には右手全部の指を使用し、爪か義爪によって音を出す。 古い時代琵琶楽譜としては敦煌文書 P.3808 の裏面に記され10世紀以前楽譜25曲)と、日本残され楽譜がある。その琵琶譜の譜字は現在のところUnicodeには未収録だが、追加多言語面への追加提案されている。

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