ヴェネツィア市街
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 02:52 UTC 版)
都市としてのヴェネツィアは、アドリア海の最深部、ヴェネツィア湾にできた潟「ラグーナ(Laguna di Venezia または Laguna Veneta)」の上に築かれた、運河が縦横に走る水の都である。 ヴェネツィア本島は大きな魚のような形をしており、本島全体が小さな島々からできている。その真ん中を全長約3キロにおよぶ逆S字形の「カナル・グランデ(Canal Grande、大運河)」がヴェネツィアの北西から南東へ、市街を2つに分けながら湾曲して流れる。鉄道路線と土手を走る車道が島々と本土を結び、ラグーナの外側の長い砂州や海岸の防波堤がこの町を海から守っている。150を超える運河が177の島々を分け、運河には400におよぶ橋がかかる。また市街地と南端のジュデッカ島の間には幅約400メートルのジュデッカ運河がある。 地上では、迷路のように狭くて曲がりくねった路地や通りに自動車は入れず、橋も歩行者専用である。何世紀もの間市内の輸送をになったのは、ゴンドラ(gondola)と呼ばれる手漕ぎボートであった。今は水上バスやフェリーが市民や貨物を運んでいるが、ゴンドラも観光に利用されている。 ヴェネツィアは、6区を意味するセスティエーレ(sestiere)からなり、ドルソドゥーロ(Dorsoduro)、サンタ・クローチェ(Santa Croce)、サン・ポーロ(San Polo)、サン・マルコ(San Marco)、カンナレージョ(Cannaregio)、カステッロ(Castello)の6つの地区に分かれている。 かつては海上に浮かぶ孤島であったが、オーストリア帝国治世下の1846年にイタリア本土との間に鉄道が敷かれ、のちに自動車用道路の「リベルタ橋」も架けられ、イタリア本土との往来は容易である。ただし、ヴェネツィア本島内は自動車での移動は不可能であり、自転車の使用も禁止されている(乳母車、車椅子は可。また、カンポ(campo)と呼ばれる広場では子供用自転車の乗り回しは可)ため、車はリベルタ橋を渡ってすぐのところにある「ローマ広場」の駐車場に置いて、島内を徒歩か船舶で移動することになる。 車が入れず、一方で運河が発達していることもあり、おもな交通機関は必然的に船になる。水上タクシー、水上バス、渡し船などが運河を用いて頻繁に運行されている(詳細は後述)。なおゴンドラと呼ばれる手漕ぎの舟がヴェネツィアでは有名だが、現在では一部の渡し船を除き観光用途で運航されている。 交通に運河を用いた水上交通が頻繁に用いられることから、運河に面した玄関を持つ建物も多い。また警察や消防、救急輸送も車に代わり、船舶を用いてその業務を行っている。
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