ラテン語学校のカリキュラム
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「ラテン語学校」の記事における「ラテン語学校のカリキュラム」の解説
ラテン語学校のカリキュラムは、おもに古典期の作者と、一部の中世の作者による文章の読解に基礎を置いていた。生徒たちは、正式な形式に沿った書簡の書き方である書簡作文法 (ars dictaminis)の原理をまず修得しなければならなかった。書簡作文法の教科書の書き手たちは、生徒たちに文法を教える際に用いるべきテキストとしてラテン語の文献リストを提示していることがよくあった。しかし、教科書のテキストは、オリジナルそのままではないことも多く、しばしば、教訓譚を含むよう改変されたり、文法規則を例示するように書き換えられていた。テキストは、寓話や詩文の形態をとることが多かった。新入生は、簡単な基本的文法から学び始め、徐々により難しいラテン語の読解に進み、丸覚えする統語論のマニュアル『Donatus』(4世紀の文法学者Aelius Donatusが作った文法書:口語の基本文法のみを扱った Ars Minor 段階)や、さらに進んだ用語集や辞書を使うようになっていく。多くの教師は、それぞれ様々な本を使用して教えていたが、最もよく使用された教科書は、『Doctrinale』であった。『Doctrinale』は、ラテン語の文法についての長詩であった。この教科書は、口語、統語論、数量、修辞技法についての部分から構成されていた。この『Doctrinale』や、数多くの(さほど人気があったわけではない)教科書は、「教科書のカノン」と称される。同様に、生徒たちが上級に進んで、本格的な書簡作文法段階に入ると、より論理的で実際的な、正式な散文体書簡の作成に焦点が当てられる。詩文は、ラテン語の学修に役立つだけでなく、記憶力を鍛え、「真実」に触れるものとして、しばしば教師が好む題材であった。中世期には、古典期の詩は教材の一部に含まれていたものの、詩文はおもな学習素材ではなかった。しかし、ルネサンス期には、韻律法や文体を修得するために、生徒たちは大いに古典期の詩文を学んだ。さらに、詩文の学習は、しばしば概念や、単語の分析を内容に含んでおり、ラテン語の文法や修辞法をより広い意味で学ぶ一環とも見なされていた。
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