モハ3010形・モハ3300形
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「北陸鉄道サハ1000形電車」の記事における「モハ3010形・モハ3300形」の解説
モハ3011 モハ3301 2両とも1958年(昭和33年)に落成し、モハ3011は7月に石川総線へ、モハ3301は11月に金石線へそれぞれ投入された。モハ3011の車体長・全幅および窓配置はモハ3200形と同一であるが、当初よりノーシル・ノーヘッダー構造とされ、客用扉の引き込み方向がモハ3200形までは車端部方向であったのに対し、モハ3011では車体中央方向に改められたことが異なる。その他、幕板寸法や幕板から屋根にかけての曲面形状が変更され、正面形状が平妻に近いものとされたことも相まって全体的に角張った印象を与えるものとなった。また、投入線区のホーム高さの問題から客用扉ステップが大型化されたことで当該部分の裾下がりが大きく取られ、車体側面裾部にわずかな欠き取りが設けられたことで、若干腰高な印象も加わっている。モハ3301はモハ3011と共通設計とされているが、軌道法の適用を受けていた金石線向けに新製されたため、連結運転時に編成長を30m以内とする規定に沿って車体長が600mm縮小されている。そのため扉間の窓が1つ少なく、窓配置はd2D5D2dと変更された。なお、2両ともパンタ側の正面が非貫通構造とされた点はモハ3200形を踏襲している。 モハ3011の主要機器は日立製作所製MMC-L50電動カム軸式自動加速制御器、神鋼電機製MT60主電動機で、これらはいずれもモハ3050形3051を電装解除し、その主要機器を転用したものであった。対してモハ3301の主要機器は全て新製され、日本車輌製造製のNCA電動カム軸式自動加速制御器およびNE40A主電動機を搭載する。このNE40A主電動機は高定格回転数仕様の軽量電動機であったため、他形式と定格速度を揃える必要性から歯車比は6.07と旅客車向け吊り掛け式主電動機としては異例のローギヤード設定とされていた。台車は2両ともND4を改良した日本車輌製造ND4Bを装備している。なお、モハ3011は当初からパンタグラフを搭載して竣工したが、モハ3301は当時金石線がポール集電方式を採用していたことから、パンタグラフ関連の設備は準備工事のみ施工されていた。 その後、モハ3011は1964年(昭和39年)にモハ3000形・クハ1101とともに金石線に転属したが、予備車的存在として扱われ、後年主電動機等を外しクハ代用としてラッシュ時のみ使用されていた。1970年(昭和45年)には三菱電機製MB-172NR主電動機とHL-74制御器を搭載して再電装され、浅野川線に転属している。モハ3301は1963年(昭和38年)にパンタグラフ化された後、翌1964年(昭和39年)にモハ3011と入れ替わるように加南線に転属、1969年(昭和44年)に浅野川線に転属した。 なお、浅野川線転属に際しては2両ともパンタ側の正面貫通化、正面窓のHゴム固定化およびモハ3301の制御器のHL-74への換装を実施している。その後、前照灯のシールドビーム化、客用扉の窓のHゴム化等が行われたが、側窓のアルミサッシ化はモハ3011のみ施工され、モハ3301は廃車まで原形の鋼製サッシのままであった。
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