メキシコ敗退 “8回0/3”騒動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 20:23 UTC 版)
「2017 ワールド・ベースボール・クラシック」の記事における「メキシコ敗退 “8回0/3”騒動」の解説
メキシコ開催の第1ラウンドD組4日目は、昼の試合でプエルトリコがイタリアに勝利したため、夜の試合でメキシコがベネズエラに勝利すると、イタリア、ベネズエラ、メキシコの3チームの勝敗が1勝2敗で並び、プレイオフ開催の可能性があった。この場合、当該3チームの対戦における失点率最下位はプレイオフに出場せず自動的に4位が確定するため、夜の試合はメキシコが勝利したとしても、失点率により3チームのプレイオフ進出が左右される状況であった。この日の前日、メキシコ側には「ベネズエラに2点差以上で勝利すればプレイオフに進出できる」と伝わっており、また当日のMLBネットワークでの中継においても同様に紹介されていた。そして試合はその2点差でメキシコがベネズエラに勝利し、選手や地元メキシコファンたちはプレイオフ進出に喜び、テレビ中継や大会公式メディアにおいても、明日のプレイオフは「イタリア対メキシコ」であることが紹介された。 しかし試合終了から約30分後に事態は急転、大会運営から「イタリアとベネズエラがプレイオフに進出」したことが発表された。原因は失点率計算におけるイニング数にあった。10日のメキシコ対イタリア戦において、メキシコは9回無死でイタリアにサヨナラ負けを喫していたが、この“9回無死”は公式記録上“8回0/3”となり、失点率計算上では“9回”ではなく“8回”として扱われるのである。これに関係者が気づかずに“9回”として失点率を計算してしまったがために、メキシコとベネズエラの順位が入れ替わるという騒動に発展してしまった(日本でこの試合を中継したJ SPORTSでは「3点差以上で勝利」と正しく紹介していたため、現地放送の紹介との違いに混乱する場面もあった)。これに対しメキシコはすぐに抗議。大会ルールには「イニング数には不完全なイニング(partial innings)も含める」と記載されており、この“9回無死”はイニング数に含まれるものである、と主張した。しかし大会運営はこれを認めることはなかった。不完全なイニングを認識する唯一の方法は守備機会により1アウトを記録することであり、投手の防御率など様々な記録もこれに基づいているため、異なる解釈を適用すると矛盾してしまい非論理的である、と説明した。 メキシコのE・ゴンザレス監督は試合後の記者会見で、試合前にコーチ陣と失点率についてミーティングを行い、大会運営にも5回ルール確認の電話をしたが明確な返事はなかった、と語った。「もし知っていたら我々は努力していた。裁判になれば、(メキシコ側に)有利な判決が下るだろう」、「物事を変えるのは、無礼だと思う。試合前の解釈が、多くを変えてしまった」と大会運営を強く批判した。チームの主将で過去のWBCに全て出場しているメジャーリーガーのA・ゴンザレス選手もツイッターで「なんてダメな大会なんだ!」と投稿。後日、記者の取材にも「WBCなんて二度と出場しない。あんな大会から去ることができて良かったよ。運営側は野球のワールドカップを目指しているようだが、あれではリトルリーグのワールドシリーズにも及ばない。MLB機構のお偉いさんにも言ってやったよ。“お前らのやっていることは矛盾だらけ。嘘ばかりだ”とね」と怒りが収まらない様子であった。
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