ミルウォープの日記
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「アフォーゴモンの鎖」の記事における「ミルウォープの日記」の解説
わたし(ミルウォープ)は、己の前世をぼんやりと求め、東洋のオカルトを探究していた。そしてついに「前世の記憶を取り戻すことができる」という秘薬を入手する。しかし葛藤に囚われ、使えぬままに7ヶ月が経過した後の1933年3月9日、ついに意を決して服用する。わたしの記憶に幾つもの前世の情景が現れ、わたしは時間をさかのぼる。わたしは戦士だったり、吟遊詩人だったり、貴族や商人や托鉢僧だったりした。だがまだまだ。人類の揺籃期をも遡り、地球の創造よりも前の闇を超える。そして四太陽の惑星ヘスタンの大都市カルードへと至り、わたしは神官カラスパになっていた。ミルウォープはカラスパを認識するも、カラスパはミルウォープを知覚しない。 3月13日、ミルウォープは、自らの前世であるカラスパについて、より深く探るために、再び秘薬を用いる。赤い霊体の1009年オッカラト月の第2日、第4日、第6日、3月29日、第18日で手記が途絶える。
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ミルウォープの日記(カラスパ)
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「アフォーゴモンの鎖」の記事における「ミルウォープの日記(カラスパ)」の解説
アフォーゴモンの神官カラスパは、恋人ベルトリスの死に絶望し、自らが仕える時間神を呪う。最愛の女性が死んでも、神は何もしてくれず、いつも通りに時が冷酷に流れるのみであった。カラスパは、妖術師アトモクスに協力を依頼し、禁忌の儀式を行おうとする。アトモクスは、それはアフォーゴモンへの冒涜であり、しかも愛の時の全てではなく「たった一時間」しか戻ってこないと、カラスパを説得しようとするも、カラスパが断固として決心を変えないことに、あきらめる。カラスパはアフォーゴモンの祭壇を汚し、自分の血を捧げて、魔神クセクサノスへの呪文を唱え、ベルトリスと過ごしたあの一時間が欲しいと願う。 時間が再演され、昨年の秋の一時間へと戻る。カラスパの目の前には、生きたベルトリスがいた。カラスパは喜び、彼女に花を贈る。そうして愛の時間を過ごしていると、ふと羽を痛めた蛾が飛んできて落ちる。哀れみ深いベルトリスは、わたしから離れて蛾を拾い上げ、二度と飛べそうにないことを知ると悲しみに暮れ、わたしが元気づけようとしても受け付けなかった。わたしはそれを苛立たしいと思い、召喚された一時間が虚しいものになり、二重の喪失を経験して、元の時間へと戻る。 カラスパが禁忌の儀式を行った結果、カラスパだけではなく、惑星ヘスタンのあらゆる者が昨年の秋の一時間を再体験した。誰もが驚き、意味を理解できずにいる。カラスパが持ち込んだ誤りによって、世界の理が狂ったのである。時の流れに尋常ならざる混乱が起こったために、カルードの民はアフォーゴモンが激怒して破滅が迫っていると信じ、狂気と混沌が広まる。アトモクスも怪死する。やがて神官たちがやって来て、大罪人カラスパを投獄する。 裁判では、大神官ヘルペノルが神アフォーゴモンを口寄せ憑依させて、処刑を宣告する。曰く、あらゆる転生体が、人生の半ばでカラスパと同じ死を迎え、周囲の者たちにすぐに忘れられる運命を帯びるという。カラスパは特殊な鎖で拘束され、アフォーゴモンの霊が住まうと言われる深淵のふちに坐らされる。わたし=ミルウォープの意識はカラスパと一体化する。わたしは、別の世界で亡霊がわたしの言葉を記していることを察するも、彼の名前を思い出すことができない。やがて深淵から輝きが現れ――――、遠い時間の彼方ではアフォーゴモンの鎖が白熱してミルウォープを苛み、彼らを時間から抹消する。
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