ミッションの設計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 06:35 UTC 版)
COROT はその軌道平面に対して垂直な方向の観測を行う。そのため地球による掩蔽が発生せず、連続して150日間の観測が可能となる。この長期間の連続観測は "Long Runs" と呼ばれ、小さく長周期の惑星を検出することが可能となる。2つの長期間観測時期の間の30日間で、COROT は "Short Runs" と呼ばれる数週間にわたる空の異なる領域の観測を行う。これは星震学のために大量の恒星を解析することを目的としている。2009年3月にデータ処理ユニットの1つが故障して視野の半分を失った後は、観測する恒星の個数と検出効率を最大化するために、3ヶ月間の観測へと観測戦略を変更した。 太陽が視野に入るのを防ぐため、北半球が夏の期間は銀河中心に向かってへび座の尾部の周辺領域、冬の間は銀河中心の反対方向であるいっかくじゅう座の領域を観測した。COROT による観測の中心となるこれら2つの領域は、COROT の打ち上げに先立つ1998年から2005年に前もって観測され、これらの領域にある恒星に関するデータを収めた COROTSKY と呼ばれるデータベースが作成された。これにより観測のための最も良い領域が選択できるようになった。系外惑星の探査プログラムでは大量の主系列星をモニターする必要があり、また惑星のトランジットが浅すぎて検出ができなくなるような巨星の観測は避ける必要がある。星震学のためには等級が9より明るい恒星を選ぶ必要があり、またできるだけ多くの恒星の種類をカバーする必要がある。さらに観測を最適化するためには、恒星が少なすぎて観測個数が増やせない領域や、逆に恒星が多すぎて位置が被ってしまうような領域は避ける必要がある。それぞれの観測期間は以下の通りである。 IRa01 2007年1月18日 - 2007年4月3日 – 9,879個の恒星を観測 SRc01 2007年4月3日 - 2007年5月9日 – 6,975個の恒星を観測 LRc01 2007年5月9日 - 2007年10月15日 – 11,408個の恒星を観測 LRa01 2007年10月15日 - 2008年3月3日 – 11,408個の恒星を観測 SRa01 2008年3月3日 - 2008年3月31日 – 8,150個の恒星を観測 LRc02 2008年3月31日 - 2008年9月8日 – 11,408個の恒星を観測 SRc02 2008年9月8日 - 2008年10月6日 – 11,408個の恒星を観測 SRa02 2008年10月6日 - 2008年11月12日 – 10,265個の恒星を観測 LRa02 2008年11月12日 - 2009年3月30日 – 11,408個の恒星を観測 LRc03 2009年3月30日 - 2009年7月2日 – 5,661個の恒星を観測 LRc04 2009年7月2日 - 2009年9月30日 – 5,716個の恒星を観測 LRa03 2009年9月30日 - 2010年3月1日 – 5,289個の恒星を観測 SRa03 2010年3月1日 - 2010年4月2日 LRc05 2010年4月2日 - 2010年7月5日 LRc06 2010年7月5日 - 2010年9月27日 LRa04 2010年9月27日 - 2010年12月16日 LRa05 2010年12月16日 - 2011年4月5日 LRc07 2011年4月5日 - 2011年6月30日 SRc03 2011年6月30日 - 2011年7月5日 – CoRoT-9b のトランジットの再観測を目的 LRc08 2011年7月6日 - 2011年9月30日 SRa04 2011年9月30日 - 2011年11月28日 SRa05 2011年11月29日 - 2012年1月9日 LRa06 2012年1月10日 - 2012年3月29日 – CoRoT-7b の再観測が目的 LRc09 2012年4月10日 - 2012年7月5日 LRc10 2012年7月9日 - 2012年10月1日 LRa07 2012年10月4日 - 2012年11月2日 – 故障のため最後のミッション ソユーズ 2.1bが機体を高度 827 km の極軌道に投入した2006年12月27日からミッションが開始した。COROT は2007年1月17日から18日にかけてファーストライト画像を撮影した。最初の科学観測は2007年2月3日に始まった。当初、COROTの観測期間は2.5年間であったが、2009年に観測を4年間延長し少なくとも2013年まで運用することが決定した。 2012年末に観測運用をさらに2016年まで再延長することが決定したが、同年11月2日に放射線によるコンピュータ障害が起き、観測データの送信が出来なくなった。2009年3月に片系統が故障して予備系統を使っていたため、観測運用再開は困難だった。その後、復旧が試みられたものの成功せず、CNES はミッションを終了する方針であることを2013年6月に明らかにした。COROT はその後も技術的な実験データの取得を続けていたが、2014年6月17日に最後のコマンドが送信され、運用を終了した。 2013年3月までのミッションの費用は170万ユーロであり、そのうち 75% はフランス国立宇宙研究センターが、残りの 25% はオーストリア、ベルギー、ドイツ、スペイン、ブラジルと欧州宇宙機関が負担した。
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