マーケティング・チェーンにおけるダメージ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/09/17 20:31 UTC 版)
「収穫後損失 (青果)」の記事における「マーケティング・チェーンにおけるダメージ」の解説
果物や野菜は機械的な傷害にとても弱い。それは不潔なナイフの使用など粗末な慣行による収穫、収穫時または流通過程における不適切な容器の使用(潰れやすいもの、ささくれた木製のもの、縁のとがったものやくぎの打ち方が不適切なものなど)、詰め過ぎや隙間の空きすぎ、容器の不注意な取扱いなど、マーケティング・チェーンのどこでも起こり得る。その結果起こり得るダメージには果実の裂果、内部の傷み、表面の擦り傷、柔らかい生産物の潰れなどが挙げられる。このように不用意な取扱いはカビや細菌の侵入経路を作り出したり、水の喪失や呼吸速度の増加を引き起こしたりする可能性がある。 生産物は極端な高温・低温にさらされたときにもダメージを受けることがある。冷蔵保存が予想されるときには、低温への耐性のレベルが重要になる。すべての生産物は、0から-2℃の間で凍る。少しならば凍ることにも耐性のある農産物はあるが、貯蔵中の不適切な温度管理は大幅なロスにつながる可能性がある。 果物や野菜の中には、包装前の洗浄に汚れた水が使われたり、周囲に廃棄された生産物が放置された作業場で梱包されたり、汚染された生産物と一緒に梱包されたりすることによる収穫後の汚染に弱いものもある。 輸送そのものによるロスは大きく、特に発展途上国では深刻である。積み込みや積み下ろし時の不注意な取扱い、(特に悪路による)輸送車の揺れ、不適切な積み込み(しばしば収入を最大限にするため荷物が車へ押し込まれる)などがダメージを引き起こす。温度の上がりすぎは腐敗につながり、水分の喪失を加速する。輸送中には換気のない閉め切った車両、空気の流れを阻害する積み方、日光を直に浴びる車両の使用などにより温度が上昇する可能性がある。いくつかの国では車両の故障がロスの重大な要因になっている。修理の間、1日かそれ以上もの間傷みやすい生産物が太陽にさらされたままになるためである。 小売りの段階でのロスは大きく、特に貧しい国で顕著である。生産物を守る設備がほとんどない質の低い市場では、生産物の劣化が早いためである。売れる生産物と売れない生産物を分けることは高い廃棄率につながり、葉物野菜の葉の除去により重量の大きなロスが起きている。市場に新鮮な生産物が届くと古い貯蔵分は捨てられるか、きわめて安く売られる。
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