マーケティングリサーチの実施
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 03:53 UTC 版)
「近鉄21000系電車」の記事における「マーケティングリサーチの実施」の解説
開発にあたり、乗客のニーズと車両設備をマッチさせるために市場調査を行った結果、名阪特急は1人で利用するビジネスユーザーのリピーターが多数を占め、グループ利用が多い観光列車とは全く異なる性質が明らかになった。そのほか、座席の前後間隔および横幅を広げてほしい、イヤホンで聴けるオーディオサービス、靴を脱いでくつろぎたい、後述の2階建の席より平床の席に座りたい、という要望があることも判った。 1958年の10000系の建造以来、近鉄特急のシンボルは、2階建車両を連結したビスタカーであったが、市場調査の結果は平床の席に座りたいという要望が階上席に座りたいという要望を上回った。また1985年、東海道・山陽新幹線に2階建車両を組込む100系が登場し、その余裕ある階上空間と比較して近鉄の狭い階上空間では居住性の観点で見劣りすることが明らかになった。特に天井肩部の空間に余裕がないため、荷棚を設けることによって、いっそう車内空間が狭くなるのである。また、鉄道路線の防音壁は高速道路に比べて低く、平床車両でも十分な展望が得られており、この点2階建にするメリットは稀薄である。2階建て構造の優位性に疑いが持たれる一方で、近鉄の車両限界に収まる2階建の車内空間が、時代のニーズに合っているかどうかの検証を行うためにメーカーにおいて平床と階上室とのモックアップによる空間比較を行った。結果として断然平床の方が豊かな居住空間を得られることが判り、今回の新型車両では2階建構造の採用を見送ることになった。 当初は4両編成で計画を進めていたが、上記の内容を踏まえて名阪ノンストップ特急専用車として他形式編成とは増解結を考慮しない、従って前面非貫通構造とすること、平床構造を採用のうえで高屋根車とすること、座席の横幅を広げてほしいという要望に答えるために2両の特別車両を新たに設けること、そして増解結は編成の中間で行うために6両編成とすることを決定した。
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