マレー式
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詳細は「マレー式機関車」を参照 こうした単発的なケースを除けば、最初の実用的な複式機関の機関車への適用として知られているのは、アナトール・マレーが1876年にバイヨンヌ-アングレット-ビアリッツ鉄道 (Bayonne-Anglet-Biarritz) 向けに小型の2シリンダー複式車軸配置0-4-2のタンク機関車を複数導入したものである。これは完全に成功を収め、長らく使用された。マレーはまた、高圧シリンダーと低圧シリンダーを独立に駆動する方式の複式の仕組みをいくつか考案した。あるものは単一の車体に双方を搭載したもので、これは実際には製作されなかった。また別な方式としては後部車体に高圧シリンダーを搭載し、これと連接構造の前部車体に低圧シリンダーを搭載した、マレー式機関車がある。マレー式の仕組みは世界中で用いられた。最初の適用例は1889年のパリ博覧会向けにドコービル社 (Decauville Company) により特別に製作された一連の600 ミリゲージ機関車である。もちろんこの構成は連接部分に蒸気が洩れがちな柔軟な蒸気配管構造を必要とし、これが前部連接車体に低圧シリンダーを搭載する理由である。高圧蒸気をそうした配管に通すとより洩れやすいからである。一方で低圧蒸気管が非常に長くなって、特に寒い日には温度が下がって凝縮する傾向を招くという欠点と引き換えであり、後年アメリカにおいては「単式マレー」が主流となる大きな原因であった。
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マレー式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 03:46 UTC 版)
詳細は「マレー式機関車」を参照 1個のボイラーの下に二個の台枠を有し、それぞれの台枠がシリンダー及び動輪を持っている方式。ボイラーは後部台枠に固定され、前部台枠はボイラーに対して動き得る。ボイラー前部の荷重は左右にスライドするベアリングにより前部台枠に伝えられる。 複式機関車の実用化に成功したアナトール・マレーが考案し1884年に特許を取得した。最初の機関車は1887年にベルギーで製造され、1889年のパリ万国博覧会に出品された0-4+4-0形機である。 本来は複式機関車で、関節式にしたのはマレーが以前作った別の複式機関車で起きた高速走行時の不安定性を防止するという副次的な理由による。関節部の屈曲する蒸気管には後部の高圧シリンダーで使用後の低圧蒸気が送られるので蒸気漏れを防ぎやすいというメリットがあった。 他の関節機同様に構造の複雑さと動輪数増加・曲線の通過しやすさと、複式である複雑さと燃費向上やトルクの安定化というメリット・デメリットの他に、機構上空転発生が抑止されるという大きなメリットと、前後動輪群の重量配分の不均衡により時速30マイル(約48km)付近から走行が不安定になるというデメリットがあったので、マレーが最初に作ったようなナローゲージ用の小型機か逆にアメリカなどでは大型化して勾配区間の貨物用などに用いられた。 日本では9750形・9800形・9850形(いずれも0-6+6-0)が存在したが、短命であった。狭義の「マレー」はマレー式機関車の中でも0-6+6-0の動輪配置のもののみを指す。日本では0-4+4-0配置としてタンク式の4500形や4510形、あるいはテンダー式の9020形が存在したが、この内9020形はマレーに満たないと言う意味で「ベビーマレー」と呼んだ。実際には製造されなかったが、ソ連では2-4-4-2+2-8-8-2+2-4-4-2という超大型のマレーが5フィートゲージ用に計画され、6000馬力を発揮する予定であったが実現していない。このマレーはフランコ・クロスティ式という特殊なボイラーを採用する予定だった。
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