マコーマック家での生活
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/17 02:02 UTC 版)
「メアリ・エレン・ウィルソン事件」の記事における「マコーマック家での生活」の解説
間もなく夫であったトーマス・マコーマックが死に妻であったメアリー・マコーマックはフランシス・コノリーと再婚、一家はウェスト41ストリートに引越しをした。 コノリー家にてメアリー・エレンは叩かれ、働かされ、日の下に出ることを許されず、クローゼットの中に何日も閉じ込められ、ほとんど風呂に入ることを許されなかった。メアリー・エレンのコノリー家で過ごした6年間の中でニューヨーク市の慈善と矯正委員会 (Commissioners of Charities and Correction) には2通の報告書がコノリー夫妻から提出された。 コノリー一家のアパートの大家であったマーガレット・ビンハムはメアリー・エレンがコノリー夫妻により虐待をうけていた事実に気が付いていた。マーガレット・ビンハムはコノリー一家がウェスト41ストリートに住んでいた4年間の間メアリー・エレンに対する虐待を頻繁に目にしていた。ビンハムは何度かにわたり虐待を止めに入ろうとしたがメアリー・エレンの母親は法に訴えると言い張りメアリーに対する虐待を止める事は出来なかった。 そしてコノリー一家は引越しをする準備を始めビンハムは当時メソジスト教徒のケースワーカーであったエタ・エンジェル・ウィーラーにメアリー・エレンの虐待について相談した。 コノリー一家の住所先でエタ・ウィーラーはコノリー一家の隣人であったメアリー・スミスに出会う。メアリー・スミスは結核に冒されていた。メアリー・スミスはメアリー・エレンが虐待を受けていた事実を認めエタ・ウィーラーはメアリー・スミスに対する介護の手伝いを依頼するという名目でコノリー一家のもとを訪れた。 当時8歳であったメアリー・エレンは汚れ、ぼろをまとい、腕と足には痣と傷跡があった。これを見たエタ・ウィーラーはメアリー・エレンに対する法的保護の実現に向け活動を始めた。エタ・ウィーラーは始めに警察へ行った。しかし当時の警察がメアリー・エレンに対する暴行の証拠無しにできることはなにもなかった。次にエタ・ウィーラーはいくつかの慈善団体を訪問した。しかし当時のニューヨーク市において子供は法にしたがった結果チャリティー団体に預けられてくることになっており、チャリティー団体の方から行動を起こすことは許されていなかった。 当時のアメリカに於いて子供を守るために一家庭に介入する事を許す法律は存在しなかった。エタ・ウィーラーはメアリー・エレンも動物界の一員だと言った姪の助言を聞き入れアメリカ動物虐待防止協会の創始者であるヘンリー・バーグの元を訪れ関係書類を提出しメアリー・エレンに対する虐待について証言する意思のある近隣の住民をつきとめるにいたる。 エタ・ウィーラーから届けられた書類を読んだヘンリー・バーグは調査員をメアリー・エレンが住んでいたアパートに派遣。この際調査員は国勢調査員に変装していた。そして調査員からの報告、そしてエタ・ウィーラーによる証言をもとにヘンリー・バーグはアブラハム・ローレンス裁判官にメアリー・エレンをコノリー一家から連れ出す請願書を提出した。当時のアメリカ動物虐待防止協会 (American Society for the Prevention of Cruelty to Animals) の弁護人でもあったエルドリッジ・ティー・ゲリーはローレンス裁判官にメアリー・エレンは違法にコノリー夫妻のもとに置かれており、コノリー夫妻はメアリー・エレンの実の両親もしくは法律で認められた保護者でもないことを明らかにした。さらに、メアリーエレンに対する虐待の描写を述べ、メアリー・エレンに対する虐待について証言した証人の名簿を提出し、メアリー・エレンは体の自由を奪われるほど、もしくは死にいたるほどの虐待を受けていることを供述し、また、コノリー一家は法の措置を逃れるためにメアリー・エレンを他の州に移そうとしているという事実の根拠を握っているということを告げ、メアリー・エレンをコノリー家から安全な場所へ移しメアリーが法廷で証言することの出来る環境を設ける必要性があることを主張した。これを受けアブラハム・ローレンス裁判官はヘイビアス・コーパスの第65節 (Section 65) に従い特別令状を発行しメアリー・エレンを裁判所の保護下に置くという決定を行う。ヘイビアス・コーパスとは不法拘留の解放を行う力を持った令状もしくは法的手段のことを指す。この令状を受けたマクドーガル警察官はメアリー・エレンを保護しメアリー・エレンが法廷で自身に対して行われていた虐待について証言が可能であった環境を築くことに成功した。
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